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リモートで信頼関係を構築するためのファーストステップ

これまで以下のように、リモートで働くときにどのようなことを意識する必要があるのかを紹介してきました。

リーダーやマネジャーが、在宅勤務で成果を上げるには?
~アセスメントで強み、弱みを見つける~
リモートで働くチームをマネジメントするスキルとアセスメントの紹介

リモートで働く場合のコミュニケーション注意点 その1
日本のようなハイコンテクスト文化ならではのコミュニケーション上の注意点

リモートで働く場合のコミュニケーション注意点 その2
「コミュニケーションの目的」と「相手のコミュニケーションスタイル」のフレームワークやツールの紹介

リモートで働く場合のコミュニケーション注意点 その3
「相手とあなたの関係性」と「言葉の表現方法」のフレームワークやツールの紹介

同じ職場で働いている場合は、これまで紹介したようなことを意識しなくても、その場や相手の雰囲気を感じることができていました。問題やミスコミュニケーションがあれば、その都度、対応・介入することができました。しかし、リモートで働いていると、必要な時以外に他の人と話す機会が少なくなり、チームや相手の雰囲気を感じることが難しくなります。問題やミスコミュニケーションがあっても、対応・介入が遅れがちになります。このような状況が続くと、たとえ今まで信頼関係が高かったチームでも信頼関係が低下していきます。チームとして信頼関係がまだできていない場合は、信頼構築にはかなりの時間を要します。

 

リモートにおけるチームビルディングと信頼構築

タックマンモデルでは、チームが機能し成果を上げるには次のような段階を経ていくと紹介されています。

1. フォーミング(メンバーがお互いを理解しようとする段階)
2. ストーミング(意見の食い違いや対立が生じる段階)
3. ノーミング(目的や役割が共有されている段階)
4. パフォーミング(チームとして成果がでる段階)


しかし、Michael Kroth博士の調査結果*1によると、リモートで働く場合では次のような流れになり、上記とは異なってきます。

1. ノーミング(目的や役割が共有されている段階)
2. フォーミング(メンバーがお互いを理解しようとする段階)
3. トランスフォーミング(信頼関係を構築する段階)
4. パフォーミング(チームとして成果がでる段階)

 


*1 出典:Managing the Mobile Workforce: Leading, Building, and Sustaining Virtual Teams

リモートで働く場合は、まず互いに求める仕事の成果を明確にするノーミングステージ、その次に互いの能力や人間性に関する理解を深めるフォーミングステージ、そして、信頼関係を構築し始めるトランスフォーミングステージ、最後にパフォーミングステージになります。タックマンモデルの2つ目のステージ「ストーミング」に該当するものは、リモートで働く場合はステージではなく、チームがどのステージにいても常に起きる可能性があるもの言われています。
さらに、この各ステージを早く進んでパフォーミングステージに行くためには、チームの新旧に関係なく次のようなことを強く意識し、全員が主体的に行動することが重要です。

マネジャーがチームとの信頼を築くために何をするか
個々のチームメンバーがマネジャーとの信頼を築くために何をするか
個々のチームメンバーが他のチームメンバーとの信頼を築くために何をするか

それでは、信頼を築くためにどのような主体的行動をとる必要があるでしょうか。信頼は、相手や自分の人間性と能力の理解によって築かれるといわれています。

 

信頼関係を築くために重要な主体的行動

しかしながら、リモート環境ではチーム内で互いの人間性や能力の理解を深める下記のような機会が失われてしまいます。

すれ違いざまやランチタイムの何気ない会話がなくなることで、その人の人間性に関する話をする機会が減る
ミーティング中なのか、外出なのか、席にいるのか見えにくくなり、その人の業務がどのように進んでいるのかを理解する機会が減る
業務の開始時間・終了時間が見えにくくなり、その人の忙しさ、生産性が高いか低いか、労働時間が長い人なのか、などの様子を見る機会が減る

このことを理解したうえで、他者に仕事の成果を共有し、相互に人間性を理解するような機会を主体的にチーム全員が意識して行うことが重要になってきます。
マネジャーは自分やチームメンバーの目標・成果とその期日を明確に設定し共有します。もしマネジャーがそのような設定をしない場合は、チームメンバーが主体的に、自分が理解している期待値に基づいてそれらを明確に設定し、マネジャーやその他関係者と共有し、少なくとも1週間に1度は進捗報告を行います。前回(リモートで働く場合のコミュニケーション注意点 その3)の「相手とあなたの関係性」でも取り上げた、相手に対する暗黙の期待値のずれをなくすためにも、目標・成果を明確にし、進捗報告することは効果的です。そしてさらにここで重要になるのが「やると言ったらやる」(DWYSYWD:Do What You Say You Will Do)が、信頼を築くための最も基本的な要素になります。
目標・成果を設定し実行するだけでは、その人の仕事に関する人間性の一部しか理解できません。人間性に関しての相互理解は、社内のコミュニケーションツール、Microsoft Teams、Google Hangout、Slack、または、Facebook、Instagram、Twitter、Line、YouTube、Pinterestなどを活用し、自分の興味のあることを気軽に他者と共有することも可能です。また、業務を進めるためのミーティングではなく、チーム全員でその日にすることや出来事などを共有し、雑談をする機会を強制的に作ったりするのも効果的です。

 

不確実性の高い環境下で必要なこと

リモートで働く場合、信頼関係を築くにはマネジャーもチームメンバーも今まで以上に主体的にアイディアを出し、行動する必要が高まってきています。
少し話は遠回りしますが、2006年に発行されたトーマス・フリードマン著書の『フラット化する世界(下)』の最終章の始まりには、アルバート・アインシュタインの引用で「イマジネーションは知識よりも大事である」、そして一人一人のイマジネーションと行動が将来を作り出すと書かれていました。2008年のリーマンショックの後には、ニューノーマル(新たな常識)な世界が到来するといわれ、2010年代前半にかけてVUCA*2、2010年中ごろにはTUNA*3という、不確実性の高い世の中を表現するような言葉が使われ始めました。このように複雑性・不確実性が高まり、将来どのように変化していくかも不明な環境では、社内の関係者含めた顧客のニーズも変化し、さらには、今まで当然と思われていた常識や前提が変わっていきます。

*2 VUCA :Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)
*3 TUNA :Turbulent (擾乱)、Uncertain(不確実)、Novel(奇抜)、Ambiguous(曖昧)

この変化は、不確実性の高い環境で企業が成長するために、社歴の長い社員や特定の部署の社員だけではなく、社内外の人材を最大限活用する必要性を示唆しています。
そして、日本の高度経済成長時に培われてきた日本での働き方は、大きく変化していきます。終身雇用や年功序列は減り、能力と成果中心の評価で給与と連動させる企業が増えています。また、今まで企業の指示で異動が決まっていた時代から、企業は社員に自発的に自分のキャリアと能力開発を考え行動することを求めるようになってきました。さらには、人生100年時代といわれ、会社員は第二のキャリアを考えることを求められ、副業などの様々な働き方の選択肢が増えてきました。

COVID19の影響で、この変化のスピードが今までにないような速さで進んでおり、誰もが先が読めない状況になってきました。このような変化の中で在宅勤務するというのは、ただ単にリモートで働く機会が増えただけではなく、働き方の常識が変化してきていることを示唆しているのではないでしょうか。大切なことは、リモートで効果的に働くことだけではなく、チームの信頼関係を構築し全員が主体的に行動して成果をだすこと。さらに、多様性を最大限活用し、それぞれの観点や能力を活かして、新しい働き方、チーム・企業の成長を促し自分のキャリアや能力を形作っていくことです。

次回は、COVID19以降のことに関して紹介します。

2020年05月25日
リモートワークの定着により変わること


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