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ハラスメントを防ぐプロセスを考える
2022年4月からパワーハラスメント防止措置が全企業に義務化されました。このような背景もあり、ここ数か月でハラスメントに関するeラーニングや研修のご相談が増えてきています。ご相談内容で多いのが、ハラスメントに関する学習の場をすでに提供していたが、ハラスメントに該当するような問題が起きてしまっている、あるいは増えてきているという内容です。
現場目線で考える
これまでも、ハラスメントを含めたコミュニケーションの問題改善にお役立ていただける概念やスキル・知識などを、BLOGを通して何度か紹介してきました。例えば、マイクロアグレッション、アンコンシャスバイアス、心理的安全性、ダイバーシティインクルージョン&ビロンギング(DI&B)、オンラインでのコミュニケーションなどがあげられます。
しかし、現場でハラスメントに直面している加害者・被害者、コミュニケーションに問題を抱えている人の目線に立った場合、とっさにこのような概念やスキルを思い出すことができるでしょうか。人材育成やその分野に関して学習している人でない限り、なかなか難しいのではないかと思います。
そこで今回は、パワーハラスメントが起きる状況例を取り上げ、現場で活用できる概念やスキルを紹介していきます。
「推論のはしご」を理解して、状況に応じた判断をする
厚生労働省が運営している「あかるい職場応援団」*1のサイトに掲載されているデータによると、パワーハラスメントの相談で一番多い内容が「精神的な攻撃」でした。
*1: 厚生労働省「あかるい職場応援団」https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/foundation/statistics/
現場での具体例として、「大声でどなる」「できていない事を過度に指摘し相手を追い詰める」というのがありました。このような言動を起こさないようにする概念やスキルには、数多くの候補があります。例えば、瞬発的な反応をコントロールするアンガーマネジメント、多少の問題発言があっても互いに気にしない信頼関係の構築、自分の思い込みを認識するためのアンコンシャスバイアスやマイクロアグレッションなどがあります。ただ、自分に必要な概念やスキルを、具体的な状況ごとに適切に判断するためには、人が物事を認識してから行動や結論づけるまでのプロセスを説明している推論のはしご*2を理解することが必要になります。
*2: 推論のはしご:ハーバード大学のクリス・アージリス教授が提唱した人が物事を認知してから言動・結論までのプロセスに関する理論
7つのステップを使い、改善の第一歩を
この推論のはしごのプロセスには、次の7つのステップがあります。
- 観察
- 情報の選択
- 意味づけ
- 解釈
- 結論
- 価値観に基づく判断
- 行動
前述したパワーハラスメントの「できないことを過度に指摘し相手を追い詰める」の例に当てはめると、まずは、加害者が7つのステップのどこで問題を起こしているのかを判断することから始まります。その判断に応じて改善策が異なります。
「1.観察」から「2.情報の選択」のプロセスが問題を起こしている場合は、相手の悪いところばかりではなく良いところも日々観察する努力などが改善策の例となります。「2.情報の選択」から「3.意味づけ」のプロセスで問題が起きている場合は、クリティカルシンキングを活用します。なぜできないのかの認識を変えることで、指摘するポイントや強度を変えることができます。「6.価値観に基づく判断」から「7.行動」へのプロセスで問題がある場合は、自分の中の思い込みでもある「できない人には強く指摘したほうが本人のためになる」のような考えに気づくことが、改善の第一歩になります。
このような判断は一人で行うのが難しいため、経験や価値観の異なる人たちとのディスカッションを通じて気づき、考えることが効果的です。
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ハラスメント研修は、eラーニングと対策研修で周知徹底
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