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グローバルビジネスで日本人の発言が少ないと言われる原因
COVID-19の影響で一時中断していた国内外の人材を対象とした、グローバル人材育成に取り組む企業が増えてきています。先日、欧米出身の受講者や講師から、日本人受講者の発言が少ないとの指摘を受けました。今回は、個人主義と集団主義の観点から、日本人の発言が少ないとみられてしまうことに関して考察します。
欧米出身の講師との会話
ある企業のグローバル人材育成研修では、国内外から受講者が参加しています。その研修を担当した欧米出身の講師と以下のような会話をしました。
講師: 「なぜAさん (日本人) はチームを裏切るようなことをするのか?」
私: 「どういうこと?」
講師: 「他のチームメンバーに自分の意見を言わずに、企画者である人事に自分の意見を言ったでしょ。これじゃまるで、告げ口をしているようじゃないか」
いろいろと話を聞いていくと、どうやらこのチームには英語を母国語としているメンバーが数名おり、その人たちがチームディスカッションをけん引している状況でした。そのディスカッションの方向性を懸念したAさんが、自分の意見をチームメンバーに伝えていました。しかし、他のメンバーから聞き入れられず、人事と話したときに「困りごと」を話すような感覚で意見を共有していました。
研修では、Aさんはチームディスカッションで発言をしていました。ただ「私は○○と考える。だから○○のほうで話を進めるべきだ」のように意見を主張することをしていませんでした。その結果、他のチームメンバーの意見への賛同や懸念を共有する程度に見られていたようです。欧米出身の受講者や講師からすると、このようなことも「日本人は発言しない」という風に見えてしまうようです。
個人主義と集団主義
この出来事は、個人主義と集団主義の文化的違いが原因の一つにあります。個人主義と集団主義は、1960年代から文化の違いが、どのようなところに現れるかをリサーチしたヘールト・ホフステード博士のモデルの1つの要素です。
ヘールト・ホフステード博士のモデルについては、以前のブログ「ダイバーシティをグローバル展開するときの2つの観点と3つの考慮ポイント」でも紹介しています。
個人主義の社会においては、グループの利益よりも個人の利益が重要視されます。このような社会においては、人は、その人が属するグループの特質ではなく、その人個人の個性によって認識されます。また、個人と個人の結びつきはゆるやかです。
集団主義の社会においては、個人の利益よりグループの利益が優先されます。個人が属するグループが個人のアイデンティティの重要な部分を占めます。したがってグループに対する忠誠心が強く、グループからの保護や支援を求める代わりに、家族、氏族、組織や派閥に対して心理的にも物質的な面でも貢献します。
日本で生まれ育ったAさんは、集団主義の傾向が強く、直接的な対立を避け、チームが問題なく円滑に協働することを優先したのではないでしょうか。異文化間で協働するには、言語だけではなく、このような文化の違いに応じて自分の主張の仕方を変える必要があります。
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