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「NOPA」でVUCA時代のリーダーシップを発揮する!【AMA U.S 最新情報】


クインテグラルは、世界有数の人材育成コンサルティング組織であるAMA(American Management Association)*の日本支社として営業を開始して以来、30年近くの間、日本で唯一AMAプログラムを提供し続けております。
AMAとの長年のパートナーシップを継続している強みを活かし、今年から、AMAで配信された人材育成に関する情報を、少しずつ皆さまにお届けしていきたいと思います。
* AMA(American Management Association)についてはこちら

※本記事に掲載された内容は、AMAより許諾を得て一部転載しています。

クインテグラルでは、2016年に「VUCA時代に描くビジネスストーリー ~ ワークショップ ~」を開発して以来、内容を少しずつ更新しながらプログラム提供をしているのですが、当時はまだ、あまり世の中に普及している言葉ではありませんでした。しかし、2020年3月のCOVID-19をきっかけに、様々な場面で目にし、耳にする機会が増えたことを実感します。

私たちが直面するビジネス環境は、グローバル化が拡大するなか、急速なデジタル化により、より複雑化したVUCA*1の世界であると言えます。このような世界でビジネスリーダーが必要とするスキルはどのようなものなのでしょうか?

*1 VUCA: VUCAとは、元々、1990年代に軍事用語として生まれた言葉で、現代ではビジネス用語としても使われるようになっている。Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)のそれぞれの頭文字をとって「VUCA」と呼ばれている。

 

VUCA時代のリーダーに必要なNOPAって何?

みなさんは「NOPA」という言葉を目にしたことがありますか?
先日、AMAの記事をチェックしていたところ、この言葉に出会いました。NOPAは「Networking(ネットワーキング)」「Openness(開放性)」「Participation(参加)」「Agility(アジリティ)」の頭文字から成る造語です。AMAとMCE(Management Center Europe)で活躍しているMartin Emrich博士は、2018年に「NOPA戦略」としてベストセラー本を出版しています。

今回は、一体、これらがどのような意味を持ち、何のために必要なことなのかを、AMA最新記事のご紹介を通しながらお届けします。

 

VUCAな環境と「共鳴」する4つのキーワード

本記事の著者は、中国の格言である“変化の風が吹いている時、ある者は壁を作り、ある者は風車を作る”を通し「これが意味することは、VUCAな環境に刃向かうのではなく、ダイナミックな環境変化と『共鳴』し一緒に変化することが有用である」と主張しています。以下、著者がVUCAな環境と共鳴する方法を「NOPA」としてまとめた内容を抜粋してご紹介します。
(以下、AMA Articleに掲載されたMartin Emrich博士の記事より抜粋)

Networking(ネットワーキング) ― あなたのネットワークは、あなた自身の価値でもある ―

多くの情報で溢れる世界において、どの人が、より多くの必要な知識を与えてくれるかを知っていることが大切です。今は「何を知っているか」よりも「誰を知っているか」の重要性が増しているのです。一般的に、自営業者は、バーチャルソーシャルネットワークを介して最適な人脈を構築します。企業も部門間に生じるエゴイズムを断ち切るため、社員同士のネットワーキングを推進し始めています。例えば、ドイツのボッシュは、「ボッシュ・コネクト」と呼ばれる独自の社内Facebookを立ち上げ、社員の間で人気を博しています。また、「ランチルーレット」と呼ばれるイベントも実施しています。参加を希望する従業員は、自分の名前をくじに入れ、別の部署や階層の異なる従業員から、ランダムに「ランチデート」が割り当てられます。このランチデートは一度のみですが、部門間のコミュニケーションを劇的に改善し、インフォーマルなネットワークを強化することが示されています。
最近の企業のリーダーは、すでにインフォーマルなネットワークの重要性を認識しています。恐らく、このようなネットワークが、彼らの現在の地位を確立するために役立ったことを知っているからです。
あなたの会社では、ネットワーク力をどのように活用することができるでしょうか?
まず初めに、直属の上司も同僚も、会社のリーダーがすでに存在するインフォーマルなネットワークへのアクセスを許可すべきです。このようにして、リーダーと一緒に働くすべての人の成長とキャリアの進歩を加速することができます。そして、リーダーは、組織のシステムをよく観察し、新しいフォーマルおよびインフォーマルなネットワークを、適切なタイミングで始め、統合すべきです。

Openness(開放性)― あなたの心はパラシュートのようなもの。パラシュートは、その傘が開いている場合においてのみ正常に動作する ―

開放性は、批判を許したり、話を聞いたりすることと、大きく関連しています。それはまた、間違いや失敗を「学び」として受け入れることも意味します。それらの反対は「間違いを許さない」という企業文化です。この種の文化は、会社を窒息させ、麻痺させてしまいます。一方、オープンであることは、小さな試みや新しいこと、そして間違いや失敗を許容することです。「エラー文化」という点では、まだまだ多くの組織で先駆的な取り組みが必要とされています。多くの経営者はいまだに間違いを、欠陥や失敗と捉えておりますが、管理職の立場の人々が、自分の間違いや失敗をオープンに伝えることにより、従業員も率直に報告していくようになるものです。
現代のビジネスリーダーは、開放性の面でロールモデルであるべきです。最も効果的な手段の一つは、自分自身の過ち、特にハッピーエンドの無い、より深刻なビジネス上の失敗について率直に話すことです。同時に、組織内のすべての人からのフィードバックは、オープンに受け入れるだけでなく、高く評価すべきです。
このように開放性を高くすることで、部下が自分のミスを共有しやすくなり、自分の盲点についてのフィードバックを受け入れやすくなるような組織風土が生まれます。

Participation(参加)― 思いやりは分かち合い! ―

参加とは、重要な意思決定に従業員を関与させることを意味します。権威主義的なリーダーシップ型の組織は、従業員を受け身にしてしまいます。しかし、学びのある組織では、従業員に、より多くの選択権や決定権を持たせます。そうすることにより、全社員の知恵や知識が活用され、より柔軟でスピーディーなシステムになります。さらに、自身の権限が拡大したことで、社員のモチベーションも上がり、責任感も増します。
リーダーは、常に従業員を大切にし、計画的に育成することを心がけなければなりません。そのために最も効果的な方法は、自分の持つ権限を、従業員と共有することです。簡単な仕事を任せることから始め、物事がうまくいったときには、複雑なビジネス上の意思決定にも、従業員がどんどん参加できるようにしていきます。

Agility(アジリティ)― 行動、内省、調整、繰り返し ―

アジリティとは、計画と実行の間、つまり「内省」と「行動」の間を行ったり来たりすることを意味します。これらの小さな検証は反映され、それぞれの中間結果の分析に基づいて、次のバルーンテストや次のステップを生み出す基礎となります。反復ループにおけるアジャイル手順には、決断が修正される場合や、実施した手段が完全に破棄される等、少なくとも修正される可能性が明示的に含まれています。この永続的な再調整手法は、すべての従業員、ひいては会社全体の適応性、自己責任、反応速度を促進します。高いアジリティにより、組織は、変化する状況や顧客ニーズの変動により迅速に適応することができ、競合他社に対する大きな競争上の優位性を得ることができます。

私たちの世界は以前よりもVUCA化しています。予測不可能で、急速に変化するビジネス環境において、ビジネスリーダーは、競争優位性を得るために、これらのNOPAコンピテンシーに取り組むことが求められます。適切なネットワークを構築し、その力を活用しなければなりません。間違いを罰するのではなく、オープンな組織風土を作るべきです。徐々に責任のある仕事をさせることで、従業員の参加を促すべきであり、適切な状況においては、アジャイルなアプローチを適用すべきなのです。

 

よりしなやかな考え方へ

今回ご紹介した「NOPA」について、皆さまの新しい日常にお役立ていただけそうでしょうか?
これまでは、直線的に進んでいたように見えた世界ですが、多面的性を帯びるようになりました。個人的な感想になりますが、本記事を通し、変化する現実に直面している今、その変化に「対抗する」のではなく「共鳴する」という、竹のようなしなやかさが、より大切になってきていると感じています。
なお、Webで“How to be an inspirational leader in the VUCA-world – NOPA”を検索していただくと、Martin Emrich博士ご本人がNOPAに関してお話しされている動画を見つけることができます。ご興味がございましたら、是非ご覧ください。
また、本記事に関連する内容として「VUCAな環境で来年の計画を策定する」をブログで発信しております。VUCAについて、より詳細な情報が必要な際に、是非ご活用ください。

今後も、皆さまにお役立ていただくような記事を見つけ次第、AMA U.S最新情報としてスピード感を持って、お届けいたします。

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