ECインタビュー【中島 力】

エグゼクティブのコーチングは『信頼関係』が何より大事

中島 力

講師プロフィール

Quintegral エグゼクティブコーチ 中島 力 Tsutomu Nakajima:
中島氏は、ブランドマーケティングを専門に、外資系企業の代表者として、時代の変化に遅れることなく、経営基盤の強化、組織改革、マーケットシェアの拡大を実践。グローバル企業文化の中で、常に自然体で長きに亘りリーダーシップを発揮してきた。 ドクターペッパー・ジャパン(株)営業、セブンアップ・インターナショナル日本支社長、(株)インターリンク創設・代表取締役、ワーナーブラザース・コンシューマープロダクツ日本代表、ヴァージン・コーラ・ジャパン(株)とコット・コーポレーション・ジャパン(株)を立上げ・代表取締役、ベン&ジェリーズ・ジャパン(株)代表取締役社長、ニューウェル・ラバーメイド・ジャパン(株)代表取締役社長、日本マッケイン・フーズ(株)代表取締役GMなど歴任。現在はその実務経験を活かしたエグゼクティブコーチングを経営者向けに提供。自らの失敗談を惜しみなく共有し、クライアントの立場に配慮した人間味あふれるコーチングに定評がある。

専門分野はエグゼクティブコーチング、リーダーシップ、ストラテジックプランニング、マーケティング、マネジメント・サクセッションプログラム等

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エグゼクティブコーチングと通常のコーチングの違いはどこにあるのですか?
中島さんが実施するエグゼクティブコーチングの特徴は?

エグゼクティブコーチングの対象となるコーチィ(コーチングを受ける人)は組織における全てのリソース(人、物・サービス、資金、株主)に関する課題を抱え、会社全体、もしくは統括する部署の中長期計画の企画立案・実施・目標達成に向けて、優れたリーダーシップを発揮する事が求められているエグゼクティブです。まずこういう点で普通のコーチングと大きく異なります。
また、”コーチング”というとコーチがコーチィに質問を投げかけていくものだと考えられがちですが、私の提供するエグゼクティブコーチングはそのような形ではありません。もちろん質問もします。質問するとともに、私自身が自分のキャリアの中で経験したことを適宜に共有します。
エグゼクティブであれば当然、人よりも優れたバランス感覚や人材管理能力が必要となる一方で、人にはなかなか悩みを相談できず、心労も多い立場です。抱える課題に対して、ともに心のこもった本音ベースのディスカッションをすることで、新たな見方や気づきを得ていただくことが大きな目的です。

たとえば一つの課題に対して、コーチィと意見が異なるとします。そういう時はコーチィの話を聞き、それを理解した上で、私の角度から見た場合の眺めを共有します。その上で「どちらでやってみますか?」と勧めます。結局、決めた内容を実行するのはエグゼクティブ本人である限り、その人がその気になって気持ちを入れて取り組まなければ、何をやっても失敗するのです。だからこそ第三者である私と意見を交換し、その方の考えの幅を広げていただくことが重要だと考えています。

エグゼクティブコーチングはそれまで成功した人や、有能でエグゼクティブになった人が対象です。こうした人たちの行動変容をどのようにして起こすのですか?

お話しましたように、エグゼクティブコーチングは通常のコーチングとは違い、企業のトップやエグゼクティブを対象としています。こうした方々は、なかなか他人には相談しづらい問題を多く抱えています。そういったエグゼクティブをコーチングするには、『信頼関係』が何よりも大事だと考えています。エグゼクティブの信頼を得るために、私自身が経験した成功談、失敗談を惜しみなく共有し、彼らが取る行動のヒントにしていただいています。
例えば外資系の日本法人トップの方と組織のトランスフォメーション(組織改革)の話をしていた時、私自身が同じ立場にあった時の失敗談を共有したことがあります。
それは私が某外資系企業の日本支社社長を務めていた時のことです。リーダーシップミーティングと称して、米国本社に世界各国から集まった地域の社長200人以上の集まりに招集された時、日本から代表で参加して本社のメッセージを聞いたわけですが、ミーティングは音楽などを交えて非常にエンターテイメント性が高い中で行われました。参加した私自身は当然、士気高揚して帰ってきます。ところが、いざそれを社内にカスケードしようとなると、現場の雰囲気からほど遠い日本の会議室では、何を言ってもパワー不足で終わってしまったという苦い経験がありました。その時に私が強く反省したのは、現場の雰囲気を伝えるには日本から私一人ではなくて、キーパーソンを複数同伴して持って帰るべきだったということで、そのためにコアメンバーを連れて行かせてほしいと本社と交渉すべきでした。この話をコーチィに共有した際、彼は早速それを実践したと聞きました。結果的に風通しが良くなって非常に良かったと言っていただきました。

中島 力

このようにコーチィとの対話の中では、共有できる限り私の失敗談をお話しするように心がけています。そうすることでコーチィにも、自身の考えを話しやすい雰囲気を作り、気兼ねなくオープンに、本音で話ができるからです。本音で話ができるようになれば、必ず何かしら学びに繋がるのです。そして、こうしたコーチングを通して新たなアイディアや考えをもったエグゼクティブは、必ずこれまでとは異なる行動を起こすものです。

社長としての強い意志を持ち、周りの意見を聞きながら権限委譲をしながらビジネスを進めることが大事

最もコーチィの成長に貢献出来たと感じた体験はありますか?

個人のプレイヤーとしては大変優秀なのに、部門長に昇格して人を見なくてはいけない立場になった時、人材管理(ピープルマネジメント)が出来ない人は、結構いるものです。彼らに共通しているのは、自分自身で結果を作れる人であるということ。頭が良くて、これまで高い打率を維持してきた人達です。ところがこうした人材がチームのトップになった時、必ずしも上手にチームを管理できるとは限りません。

彼らは多くの場合、「なぜ僕の言うことがわからないの?」から入ってしまいます。どうしてもご自分の能力をベースに他人と比較してしまうのです。「なぜわからない?」と言われた側は委縮します。質問もできなくなります。結果的に部下が付いていけず、チームとしてのまとまりが悪くなり、信頼感も欠如する、負のスパイラルに陥ってしまいます。優秀な人は特に、そこに気づいていないことが多いのです。

私は、「クラスの偏差値を65に上げようとしても、中には偏差値30とか40の人もいます。それを一斉に上げようとしても上がるわけがないですよね。職場の人材もそれと同じですよ。彼はあなたではないし、あなたは彼ではないのだから、もっとコミュニケーションしましょう」、「人は命令では動きません。その人ができないからといって、首にすることは簡単かもしれませんが、それでは会社として将来性はありません。あなたは人を動かす立場にあるからこそ、人を”育てること”が重要なのです。」などと話して、他人が本人と違うことを認めつつ、且つ良い点を褒めて能力を引き出す事がチーム全体の成果に繋がるのだと根気よく話をすると、必ず気づいて変わってくるものです。もともと優秀な人たちなのですから。

エグゼクティブコーチとして、コーチィと関わる上での信念、気を付けていることはありますか?

まず当然のことですが、守秘義務を守ること。
そしてお互いリスペクトできる信頼関係を築くこと。
そして毎回コーチィの立場に立って、全身全霊でユーモアを交えながら取り組むことです。
私はコーチングが始まる時には、「Let’s enjoy the journey」と伝えます。これには、「これから一緒に旅をしましょう。あなた一人がする旅ではなく、二人で旅しましょう!」という気持ちを込めています。その旅にコーチである私も同乗するからです。心からコーチィに成果を出してほしい、伸びてほしいと願って伝える言葉です。

話しやすい「環境づくり」にも気を付けています。実際に行った「環境作り」の中で、極端な例をひとつあげると、私はお風呂に入りながらコーチングセッションをしたことがあります。ドイツ人のエグゼクティブと露天風呂に入って、日本の「わび・さび」の話と「裸の付き合い」というテーマでコーチングをしました。日本の”情緒”は、オフィスに籠っていてわかるものではありません。時には外に出たり、食事を一緒にしたり、コーチングする場所には気を使っています。私の中ではこれも「環境をつくること」の一手です。

これからのトップエグゼクティブに求められる能力・資質は何だと思われますか?

最近私が感じるのは、大和魂を持った「日本の親分」のような人材が少なくなってきているということです。日本人リーダーの良さというと、面倒見が良く、親分肌を備えた人だったと思います。
山本五十六の言葉の「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ」にもある通り、「おおらかな心」で社員を「家族の一員」として見て、「責任を取る」ことによって、この人なら付いていこう!この人のためにがんばろう!というフォロワーシップが生まれるものです。

今は組織が大きくなり、細分化されているために全部がなかなか見られなくなってきました。また、知識を必要とするビジネスも多くなり、こうした環境のすべてを社長一人では把握しきれません。だからこそクリアなビジョンを持って、失敗しようがしまいが3年は「この方向で行く!」と決め、チームを組み、そのチームのトップに全権を任せていくことが重要だと思います。
また今後のビジネスでは、ダイバーシティ、企業文化、コミュニケーション力、発信力、チーム力がますます重視され、グローバルな環境でリーダーシップを発揮できることが求められます。社長としての強い意志を持ち、周りの意見を聞きながら権限委譲をしながらビジネスを進めることが大事だと思います。

中島 力

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