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半世紀分の反省気分

半世紀分の反省気分

 なかなか気持ちが落ち着かない日々が続いている。
前半を折り返したばかりだが、2022年はここまでいろいろと大きなことが起こり、大変な年となっている印象を個人的には抱いている。何が正しくて、何が間違っているのかもよく分からなくなりつつある。

50年前の日本
 2022年は沖縄返還50年目の年だ。少し気になったので50年前、「1972年」の出来事を調べてみた。

1月
グアム島で元日本兵陸軍兵士横井庄一さんを発見
2月
札幌オリンピック開催、あさま山荘事件
4月
川端康成氏が自殺
5月
沖縄返還
7月
第一次田中角栄内閣発足
9月
日中国交正常化
10月
パンダが来日
 と、50年前もこの国は何だか大変な年だったようだ。

 今と少し違うのは、半世紀前は高度成長期時代で、さまざまな変化を希望として捉えることができていたのではないかと想像する。その後、冷戦が終結し、バブルがはじけ、失われた30年に差しかかろうとしている今、少し気分が落ち込む事件が続いてしまっているのは残念でならない。

ナンプレにはまる理由
 そんな中、今の私は50年前には知られていなかったであろう、「ナンプレ (数独) 」にはまっている。もちろん、これまでに何度も遊んだことはあるのだが、ここ1、2ヵ月に至っては、毎日ナンプレを解いている。購読している新聞には、毎日朝刊に1問、そして夕刊にも1問ナンプレが掲載されている。今までは全く気にもしていなかったのだが、ここ最近は過去の古新聞を引っ張り出して解いているほどである。3×3のブロックに区切られた9つの正方形に、1~9までの数字を入れていく。正解は1つしかない。いや、必ず正解がある。この、必ず「正解」があるということに、もしかしたら何とも言えない安ど感を覚えるのかもしれないと思う今日この頃である。

 現実の世界では、世界情勢も、自分の仕事も、家族との生活も、育児や子育ても、唯一無二の正解があるわけではない世界を生きていることに、多少疲れているのかもしれない。最近のテレビ番組に、必ず正解があるクイズ番組が毎日といっていいほど放送されているのも偶然ではないかもしれないと、自己中心的な推察をしてしまう。

50年前に描いた希望の社会
 50年前も正解があったわけではないと思う。ただ、高度成長期で経済の発展・成長という進むべき道がある程度鮮明に見えていたはずだ。お父さんは外でモーレツに働き、お母さんは家を守り、子供は学校で勉強をして厳しい受験戦争に立ち向かう。そのような、その時代のあるべき姿が社会全体に共有されていたのかもしれない。
 今は多様性の時代である。価値観が多様化し、先述のような表現はもう許されない。SNSに代表されるテクノロジーの進化によって、個々人の発言・発信が瞬時に世界を駆け巡り、瞬く間に知れ渡り、即座に反応がある。50年前の人々には想像もしなかった社会になっている反面、50年前に希望として描かれていた社会に近づいているのだろうかと心配にもなる。

 返還された時の沖縄の人々が持っていた希望の社会になっているのだろうか。そして、国交正常化時に思い描いた両国の関係に近づいているのだろうか。

多様性を社会の力に
 本当に価値観が多様化したのか、そもそも多様だった価値観が広く知れ渡るようになったのか、はたまたその両方なのかもしれない。しかし、社会としての価値観が、既得権益を壊し、いろいろな人に機会を平等に与えることが当たり前となっていくことは大変嬉しい気持ちになる。日本は、世界と比べるとまだまだ足りていないとしても、女性のさらなる社会進出、男性のさらなる育児・家事貢献、性的マイノリティや障害者の方たちの居心地のよい社会、多様性を楽しく維持できる社会になっていくことは、50年前にはそこまで深く考えらえていなかったのではないか。そういう意味では、今は50年前より明るくなっていると思う。

 真の意味での多様性を受け入れる価値観、多様性が当たり前の価値観というのはまだまだこれからである。まずは法律やルールの整備。そして、他者を受け入れる、理解する気持や姿勢、覚悟を意識しなくてはいけない。包摂性を意識した態度、行動を維持し、世代を超えて価値観として定着させていくのが社会的に必要である。

 今は多いに悩み、多様性を社会の力にできるようにわれわれ社会人の踏ん張りどころだ。

 2022年7月17日の毎日新聞「時代の風」欄に、総合研究大学院大学長の長谷川真理子氏の記事*が掲載されていた。この記事で、日本政策投資銀行が出している「今月のトピックスNo.257」(2016年4月18日)に掲載された「女性の活躍は企業パフォーマンスを向上させる~特許からみたダイバーシティの経済価値への貢献度」という分析結果を紹介していた。
 簡単に紹介すると、2016年時点で過去25年間に日本国内で出願・公開された特許のうち、製造業関係の100万件を分析。その結果、男性のみが考え出した特許と、男女混成チームが考え出した特許とでその経済価値を比較してみたところ、混成チームが考えた特許の経済価値の方が高く、15業種中11業種で1.2倍以上となっていたということ。まだまだジェンダーギャップの大きい日本だが、ダイバーシティとインクルージョンは非常に大切で、単に個人の尊重という理念の問題だけでなく、多くの人が満足するものを実際に生み出す機能も備え、集団の最大幸福の追求に寄与するようだ、と長谷川氏は記している。
*多様性の経済価値 「男女混成」高い成果

〇〇らしく・・・
 私には3歳になる娘ともうすぐ9歳になる息子がいるが、女の子と男の子ではやはりいろいろと異なる。娘が興味を持つことと、息子が興味を持つことは全然違う。ちなみに今の娘のお気に入りは絆創膏 (ばんそうこう) だ。キャラクターの描かれた絆創膏を体中に貼って満足している。もちろんケガなどしていないので、もったいない。「資源の無駄遣いだからケガした時だけにしなさい」と言うと、赤色のマーカーで自分の腕や足に赤い線を引いて、「血が出ているから絆創膏貼る!」と言ってくる。人形にもたくさん絆創膏を貼ってお世話をしている。これを女の子らしい遊びだなと解釈してしまうのだが、はたしてその表現はあっているのだろうか。
 女の子は女の子らしく、男の子は男の子らしく、とついつい思ってしまうが、そのような表現をしても良いものかどうか。何か社会的なジェンダーバイアスがあるのではないかと自問自答してしまう。―ここにもやはり正解はない。

 余談だが、キャラクターの絆創膏はお値段がお高く、絆創膏のせいで家計が傷つくという事態になっている。早く明日の朝刊のナンプレで正解を得たい、もはや数字の中毒、数毒である。
 これも時代のせいかい?

 

本ブログでご紹介した内容の詳細は、以下までお問い合わせください。
お問い合わせ:https://www.quintegral.co.jp/contact/

筆者紹介

山田 琢 Taku Yamada
クインテグラル株式会社

グローバルな仕事に従事しながら、国および企業文化の違いによる組織力の差に興味を持つ。それ以来、より良い組織を作るにはどうしたら良いのか、そもそも良い組織とは何かを探し求め、組織開発ファシリテーター・コンサルタント、企業内人事などに従事し、2018年より現職。人材育成の領域から、より良い組織作りに貢献することを目指している。


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