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職場でD&Iを実現するための10のアクション【AMA U.S 最新情報】

 

クインテグラルは、世界有数の人材育成コンサルティング組織であるAMA(American Management Association)*の日本支社として営業を開始して以来、30年近くの間、日本で唯一AMAプログラムを提供し続けております。
AMAとの長年のパートナーシップを継続している強みを活かし、今年から、AMAで配信された人材育成に関する情報を、少しずつ皆さまにお届けしていきたいと思います。
* AMA(American Management Association)についてはこちら

※本記事に掲載された内容は、AMAより許諾を得て一部転載しています。

みなさんは、職場におけるD&I(ダイバーシティ&インクルージョン)と聞いて、どのようなキーワードを連想しますか?

女性活躍推進、外国人労働者の受け入れ、障がい者雇用、LGBTQ等々、今おかれている立場や状況に応じて、連想されるキーワードの優先順位は人それぞれだと思いますが、以前より多くのイメージが湧くようになったのではないでしょうか?
日本企業でもD&Iを冠する部署やプロジェクトを見かける機会が多くなったため、多くの方がD&Iを、より身近に感じるような時代になりました。また、最近では、D&Iに「Equity(公平性)」を付け加えた「DE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)」と表現されることも多くなっています。様々な企業が、DE&Iに関する研修を取り入れておりますが、今いる現状に目を向けたとき、果たしていくつの企業が実際の職場において、これらを実現できているのでしょうか?

今回は、研修を実施するのみでは実現しにくい、ダイバーシティ(多様)で、エクイティ(公平)で、インクルージョン(包括)な職場を構築するための10のアクションをご紹介します。
(以下、AMA Articleに掲載された記事より抜粋)

 

アクション1:あなた自身に問題や改善の機会があることを認める

例えば、薬物などの依存症回復プログラムにおける最初のステップは、自分に問題があることを認めることです。基本的に、現状がうまくいっておらず、助けが必要であるという事実を認めなくてはなりません。このアクションは、変化が必要であるという現状や、より良い方法があるということを、素直に認識するためものです。
これは、DE&Iを推進する場面においても当てはまります。もしあなたの組織が真に多様性、公平性、包括性のある文化に向けて働きかけようとしているのであれば、現在の「やり方」がうまくいっていないことを認め、過去を手放して新しいこと、違うことに挑戦する時が来ていることを認めなければなりません。

 

アクション2:聴いて学ぶ

社会心理学者のIrving L. Janisによると、集団思考とは、人々がグループ内の合意を取るために懸命になり、自分の個人的な信念すら脇に寄せ、グループの他の意見を採用しがちになる心理学的な現象です。これは、グループのメンバー同士が非常に似ている場合や、強力でカリスマ性のあるリーダーが担当している場合、またはグループが極度のストレスや道徳上のジレンマにさらされているときに最も起こりやすい現象です。

より速い意思決定やタスクの完了につなげることができるので、集団思考を称賛する人もいますが、個人の創造的思考の抑制、意思決定の失敗、非効率的な問題解決につながる可能性があるため、多くの人が危険視しています。集団思考に対抗するためには、他の人の意見、特に自分とは異なる意見を聴く必要があります。そして、他の声が聞こえたら、次のステップに進むための議論や話し合いが積極的に行われるようにしなくてはなりません。これは学びを最大化し、最適な意思決定および問題解決を促します。

 

アクション3:居心地の悪さを乗り越える

これは、よく知られた奴隷制廃止論者Frederick Douglassの言葉で表現できます。

苦悩なくして前進はない。自由には賛成と公言しながら、激しい討論には眉をひそめる者がいる。彼らはまるで、地を耕さずに収穫を得ようとするようなものだ。雷や稲妻を避けて(恵みの)雨だけを欲し、決して荒れ狂うことのない大洋を望む。

真に多様で、公平で、包括的な職場環境を求めている私たちも、他人の人種差別的な経験に耳を傾けていなかったり、社会が抱えている病悪や個人的な偏見に、無意識に加担していたりすることに気が付かぬまま、同じことをしているのです。私たちは、不公平や排除という醜さに身を投じ、現在の環境を作り出した自分たちの役割を受け入れなければなりません。私たちを取り巻く環境を変えるためには、リスクを取り、間違ったことを言い、時には失敗をする覚悟も必要です。

 

アクション4:より大きく考える

真にDE&Iを支え、尊重する文化を持続させるためには、制度的な人種差別、個人的なバイアス、マイクロアグレッションなどの多様性の概念を従業員に教えるだけでは不十分です。
共有されたビジョンに根ざし、組織内の人々の個々の経験に基づいた、より全体的なアプローチは、このような環境を作りだすために必要なマインドセットの転換と行動の変化を促します。それは、組織の価値観、ガバナンス、才能、報酬および他の慣習にDE&Iを絡め、組織のすべてのメンバーが、自分の役割を理解し、新しい習慣を身につけるための責任感をもたらします。

良いものとは、どのようなものかを視覚化し、それを測定しましょう。成功がどのように見えるかを明確にすることで、達成しようとしていることのイメージや、現実と可能性の両方を感じるビジョンを作ることができます。それは確かに魔法ではありませんし、ビジョンを実現するための計画と努力の代わりにはなりませんが、ビジョンを実行に移すための正しい考え方を身につけることはできます。
そして、日々の成功がどのように見えるかに基づいて、DE&Iのイニシアチブと目標に対する進捗と成功を測定するためのスコアカードを作成します。測定基準を決定する際には、雇用、定着率、およびその他の測定基準に対する多様な労働力の存在だけでなく、組織の各メンバーが自分の周りのメンバーと同じ機会やリソースを利用しているかどうかも測定するようにしてください。

 

アクション5:疑いを持つ人を行動する人に変える

変化する能力に懐疑的な人たちは、より多様性があり、公平で、包摂的な職場文化を実現するための最大の味方にすることができます。そのため、あなたは彼らの現状を理解し、彼らの懸念(多くの場合、非常に正当なものです)を解決し、彼らの信頼と将来へのサポートを得る必要があります。
特に困難な課題に直面しているときには、懐疑的な人たちと一緒に仕事をするのは大変ではありますが、疑念を抱いている人が持つ意見を尊重しながら質問をし、その答えに耳を傾けましょう。彼らと協力して前進する道筋を共に作り、行動を起こすように促します。

 

アクション6:人事制度を変える

周囲の人たちとコミュニケーションをとり、研修を実施し、変革の機運を高めることができれば、大きな進歩を遂げることができます。しかし、将来に渡って進歩を維持したいのであれば、ほぼすべての人事方針や制度を、従業員のライフサイクル全体にわたって、DE&Iの視点から再評価しなければなりません。採用から学習・開発、パフォーマンス管理、タレントプランニング、報酬・表彰プログラムに至るまで、すべての人事施策は、DE&Iの文化を奨励し、強化しなければなりません。

 

アクション7:スポンサーシップを活性化する

伝統的に過小評価されてきたグループの認知度を高め、成長を加速させる、包括的で公平なメンターシップ・プログラムを構築しましょう。さらに重要なことは、組織全体のキャリアスポンサーを活性化することです。キャリアスポンサーとは、他の人のキャリアアップを支援するために、より積極的に活動する人たちのことです。彼らは、公私にわたり、他人の成功を応援する影響力のあるリーダーであり、しばしば彼らを注目度の高い仕事やストレッチアサインメントに推薦し、リスクを取ることをサポートし、主要なインフルエンサーとの関係構築をサポートします。スポンサーは他人のキャリアに関心を持ち、その過程で直面したバイアスを阻止する手助けをします。スポンサーシップは、信頼と信用によって得られるものですが、組織全体で奨励し、期待し、報酬を与えなければなりません。

 

アクション8:集団の力を利用する。

アメリカの作家、政治活動家、講演家であり、盲ろう者として初めて学士号を取得したヘレン・ケラーは、かつて「一人ではほとんど何もできないが、一緒にいれば多くのことができる」と言い、特に社会運動の文脈では、人々がお互いに助けを求めて寄り添うことを暗示しています。ヘレン・ケラーは、多くの素晴らしい人の中でも、特に障がい者を支援していました。彼女は障がい者の権利に人生を捧げ、他のグループの社会正義をサポートするために多くの時間を費やしました。彼女はすべての努力の中で、集団の力を強調していました。
同様に、組織においても、活発で十分なリソースを備えた従業員ネットワーク、リソースグループ、協議会を構築し、育成することが重要です。従業員を集めて、DE&Iの問題にどのように対処するかを共有し、耳を傾け、戦略を練ることで、文化を強化し、より良い結果を得るために集団の力を利用することができます。

 

アクション9:すべての階層でエネルギーを構築し、持続させる

広い範囲への理解や文化の変化を継続的にさせるためには、組織内のあらゆる階層を4つの異なるエネルギーセンターに見立て、短期的および長期的なニーズに対応するための取り組みが必要です。

  • Cスイート(経営層)
  • マジック・ミドル((社員と幹部の間に位置する中間層のリーダーたち)
  • マネージャーコーチ(直属の社員がいる人)
  • 日々お客様や取引先にサービスを提供する最前線の社員

 

アクション10:大胆であれ、正直であれ、謙虚であれ

そして、最も重要なことは、忍耐強くあることです。
何百年も前からある問題に取り組んでいることを忘れないでください。私たちが日々お客様にアドバイスしているように、今こそ、未来に向けた明確なビジョンを掲げて周囲を鼓舞し、自信を持って冷静に変革のハードワークに取り組み、より良い明日を創造するためにチームを動員して前進するべきなのです。

 

まずは、一歩を踏み出す

DE&Iに関する基本的な知識は、トレーニングを導入することにより、効率よく学ぶことが可能です。しかしながら、本当の意味で多様性、公平性、包括性を企業文化に昇華させるには、継続的な働きかけを地道に行う必要があります。
今回ご紹介した10のアクションの中には、日本での日常においては、馴染みがない課題も含まれていますが、DE&Iを実現するために必要なマインドや、取り入れられそうな取り組みもあるのではないでしょうか。一度にすべてを取り入れることは難しいとは思いますが、アクション1で言及されているように、現状を真正面から見据え、受け入れるだけでも前進の一歩を辿れます。

クインテグラルでは、下記のようなDE&Iを推進し、基本的な知識を得るための研修や、周囲を巻き込み、相手を説得するための知見を集めたプログラムを提供しています。

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