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年齢ダイバーシティ (Age Diversity)

年齢ダイバーシティ (Age Diversity)

メリークリスマス!今回が2022年最後のブログです。

ダイバーシティには性別や国籍、年齢など目に見えやすい表層的レベル (surface-level) と、能力や経験,価値観、信条など目に見えにくい深層的レベル (deep-level) のに分類されます。今回は表層的レベルの「年齢ダイバーシティ (Age Diversity) 」について考察していきます。

年齢の違いが生み出すもの

家庭、学校、地域、そして職場において、「年齢」による遠慮、衝突、差別はきれいごと抜きで現実的に根深く存在しています。例えば「言葉にしなくても分かるだろう」「察してくれよ」「俺の若い時は」と古い価値観を押し付けるミドル、シニア世代に、若手世代は閉口してしまいます。

また、若手世代が示す「新しい技術や、ビジネスフレームワークは年寄りには分からないだろう」「あの人たちには言っても無駄」というような露骨な差別に負い目を感じるシニア世代が増えていると、ある紙面では書かれていました。

コロナ禍では、テクノロジーを使った新しいコミュニケーションが当たり前になりました。プレゼンテーションのやり方、ビジネスで使うフレームワークや考え方もどんどん新しくなっています。

企業内では、年齢によって受けた教育の違いによって、ITに対する知識の量にも差が生じています。十分なITリテラシーを身に付けていないことで、セキュリティ面でのトラブルやIT機器の取り扱いができないなど、業務に支障が出たりしています。外部との連絡手段や、業務効率向上を目的としてデジタル化が進むなかで、デジタル機器は今のビジネスでは必要不可欠な存在となりました。

年齢が上の世代では、デジタル知識に乏しい人々の孤立が進み、デジタルデバイド (情報格差) が生まれています。これらは個人レベルだけではなく、組織レベルでも解決しなければならない課題です。

デジタルデバイドを埋め、自分の職業人生の価値を上げるためにも、アンテナを高く張り、スキルアップする必要があると考えます。私の過去のブログでも、自らのキャリアは会社に依存するばかりでなく、自立心をもって自らのキャリアをデザインすべきではないかと問題提起したことがあります。こういう私も、ITの苦手意識を克服しようと四苦八苦しています。

フィンランド人の「年齢」観

先日、フィンランド大使館に勤める日本人の方のお話を聞く機会に恵まれました。フィンランドのある公園で新しい像を設置するとのことで、現地の若手の男性と初老の男性が議論していたようです。よくよく聞いていると若手が年配に新しい技術を教えているところでした。このような光景はフィンランドに滞在中しばしば見られたそうです。

年配の方に「新しい知識や技術を学ぶなんて、すごいことですね。尊敬します」と感想を述べると、大抵の場合「はぁ?どういうことですか?」と逆にいぶかしがられてしまったと仰っていました。

日本では年配者が若手に教えるというのが普通です。逆に、フィンランドでは年配者が若手から教えを請うことが普通だそうです。日本人大使館員の方によると、こと仕事において、年齢による差別や優遇などは全くなく完全に平等とのことです。

フィンランドでは、年を取っても人はいつでも学ぶことが当たり前なので、日本で取り組もうとしているリスキリングという概念がそもそもないそうです。学校→仕事→引退という典型的な流れはなく、学ぶ必要があれば、いつでも仕事を中断して、学校に戻ることができます。その間の経済的支援は国がバックアップしてくれます。なぜならば、仕事に復帰した際、当人が学習したことが社会に還元されるからです。セイフティネットを国として整えるのは当然だと考えられています。

フィンランドでは、人間のIndependency (独立・自立) が教育の基本指針であり、自分の責任と意思で自らの人生を設計していくという考えが深く根ざしていると大使館員の方は仰っていました。フィンランドが幸福度ランキングで5年連続1位である理由が分かったように思いました。

年齢ダイバーシティ (Age Diversity)

私が学んでいる大学院では、年齢ダイバーシティが存在することで、人々は相互に学習し、成長し、経済価値やパフォーマンスだけでなく、イノベーション、創造性、新しい価値や文化を生み出すことをさまざまな事例やデータから学んでいます。年齢ダイバーシティがポジティブな成果を組織にもたらします。

年齢はただの「背番号」だと私は考えます。老いも若きも「年齢」を言い訳にせず、それぞれが仕事し、勉強し、成すべきことを成します。そのために成長していこうとするマインドセットを持ちます。そうすれば、いつの日か、日本が幸福度ランキング世界1位になることも夢ではないかもしれません。

私たちの会社クインテグラルでは、70代80代の方が大活躍しています。人生の大先輩を見ていて感じることは、仕事を強いられてするのでもなく、義務感からするのでもなく、仕事自体を楽しんでいることです。悲そう感などはみじんも漂っていません (笑) 。私たちとのコミュニケーションやふれ合いを楽しみ、いつも朗らかです。これは私にはまねできないですが、彼らだからこそできる会社への「貢献」だと思います。

人にはそれぞれ置かれた立場があり、それぞれの役割があるのでしょう。まだ彼らからは多くのことを学び、吸収したいことが私にはあります。このようなロールモデルが、すぐそばに存在することを私はとても感謝しています。

最後に

今年も良いこともあれば、苦労されたことも多かったのではないでしょうか。私も皆様と同じです。2022年を終えようとしている今、すべてに感謝したいと思います。年末年始は心と体を休め、すてきな2023年を共に迎えましょう。

 

本ブログでご紹介した内容の詳細は、以下までお問い合わせください。
お問い合わせ:https://www.quintegral.co.jp/contact/

 

筆者紹介

未来への道標 A guide to future

新里 幹彦(Mikihiko NISSATO)
クインテグラル株式会社

長年、日系・外資系企業でのマネージャーとして活躍。2013年よりクインテグラルで、日本国内の内資・外資系の企業の経営陣や幹部、次世代リーダーの方々を対象に、リーダーシップの強化、マネジメントスキルの向上、グローバルコミュニケーションの強化など、人事コンサルタントとして様々な課題に取り組んでいる。最近では、これらの経験を活かし、トレーナーとしても活動を開始。

 


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