Teijin Aramid

組織の成長を中長期的に継続するために、限りある現場経験の機会に代わるような育成プログラムを構築する

  • 欧州
  • 次世代リーダー育成
  • 管理職

導入の背景

テイジン・アラミド社は、帝人グループの一員で、アラミド繊維(高機能人工繊維)の分野におけるリーディング・カンパニーです。異なる4つのアラミ ドをさまざまな形で供給しているテイジン・アラミド社は、顧客に多様な製品を提供しているだけでなく、革新的な製品開発という面でも他の追随を許さない水 準の知識と経験を備えています。

テイジン・アラミド社は、市場で強力な地位を占め、同社の売上と市場シェアは前年比で増加し続けていました。しかし、社長兼CEOであるEiso Alberda van Ekenstein氏とトップマネジメント・チームは、この成長と市場シェアを将来にわたって持続させるために、適切なスキルと行動様式を備えた人材の継 続的な育成の必要性を感じていました。現在のトップマネジメント・チームと、将来その役職を担うミドル/シニア・マネジャーの間に、スキルや経験の格差が 存在することも懸念しており、このギャップを解消したいと考えていました。
このため、テイジン・アラミド社では、ミドル/シニア・マネジャーが将来、トップマネジメントの役職に就いたときに困ることのないよう、充分な対策を講じ ることにしました。その対策とは、彼らにテイジン・アラミド社のビジネスを全体的に、トップマネジメントの視点から理解させると同時に、会社を率いるに相 応しいリーダーシップ・スキルと行動様式を持つ人材に育成するということです。
テイジン・アラミド社がMCE(Management Centre Europe)をパートナーに選んだのは、MCEが単に標準的なベスト・プラクティスに依拠するのではなく、テイジン・アラミド社特有のビジネス状況を考 慮に入れたテイラーメイドの次期経営者養成プログラムを開発・提供することが可能だったからです。MCEからは、グローバルビジネスのノウハウを熟知して いるMCEのシニア・アソシエート(講師陣)をはじめとするプロジェクトチームメンバーたちが、このプロジェクトを率いるために選ばれました。このよう に、MCEのシニア・アソシエートは皆、グローバル企業経営の経験が豊富で、担当するワークショップでは実例をたくさん盛り込んで、実際のビジネスにすぐ に役立つアドバイスが得られる点が特徴です。

提供したソリューション

テイジン・アラミド社の状況を理解する

まず、社長兼CEOのEiso Alberda van Ekenstein氏及びその他のトップマネジメント・チームメンバーたちとMCEとの間で話し合いが行なわれました。ミーティングでは、同社の企業戦略 と組織構造、戦略実行のために導入されているプロセス、戦略実行に関連する人事課題など広範囲にわたる内容に関して詳しいヒアリングを行いました。MCE がテイジン・アラミド社に向けた最適なソリューションを立案する上で、これらすべての情報が鍵となってくるからです。

テイジン・アラミド社の状況を分析する

テイジン・アラミド社は、ちょうど向こう10年間の戦略計画を策定し、この計画の遂行をする段階にありました。 さらに詳しい状況を知るために、MCEはビジネスニーズを次のような方法で分析しました。

  • トップマネジメント・チームメンバー全員との1対1のインタビュー
  • 定評あるコンサルタント会社からのフィードバックを分析
  • 個人的データを得るための社員満足度データと360度評価の分析

これに続き、既存のテイジン・アラミド社コンピテンシー・フレームワークをもとにして、新たなリーダーシップのフレームワークが開発されました。テイジン・アラミド社のための360度リーダーシップ育成ツールの基盤として、次の4つのリーダーシップ領域が明示されました。

  1. 方向性を定める
  2. 目標を共有する
  3. 支持を獲得する
  4. 成果を上げる
テイジン・アラミド社向けの適切な顧客ソリューションを決定する

テイジン・アラミド社は、MCEが提案した4つの異なるモジュールから構成される、ミドル/シニア・マネジャーを対象にした経営者育成プログラムに合意しました。
プログラムの目標は次のように設定されました。

  • 同社の目標を達成するために、将来のリーダーを育成して会社に定着させる
  • リーダーシップ・スキルを向上させ、必要な変革を遂行する
  • テイジン・アラミド社において成功するリーダーとなるために必要なものが何か、の共有認識を持つ
  • 他社の経験から学ぶ
  • 同社自身の戦略を理解し、その策定と実行の支援に注力する
  • 将来、重要な地位に就くための活動に本格的に取り組む能力と意欲がある人材グループを編成する
  • キャリア開発とリーダーシップ育成のための個人の自己啓発計画に対する責任感を生み出す

毎年約15名のミドル/シニア・マネージャーが1つのグループとして、順次このリーダーシップ・プログラムに参加し修了を目指しています。また、テ イジン・アラミド社のトップマネジメント・チームからも2名が各モジュールに参加し、グループのメンター・コーチ役も果たしています。

テイジン・アラミド社のためのソリューションの開発と実施

このプログラムの4つのモジュールは、主に次の2つの要素を核として構成されています。

  • リーダーシップ・スキル
  • ビジネスの日常業務スキル

なぜなら、これら2つの主要な要素に注力することが、テイジン・アラミド社が、同社にとって必要な短期的および長期的な成長目標を達成するのに役立つと考えたからです。

プログラムでは、以下のテーマを中心に取り上げました。

  • テイジン・アラミド社におけるリーダーシップの定義
  • 明確な戦略的方向性を提示する
  • テイジン・アラミド社の戦略を実践し、コミュニケーションをとる
  • 企業目標を達成するために求められる行動変革
  • 会社の戦略的方向性にバリューと行動様式を合わせる
  • 戦略的計画および日常業務に顧客の声を反映する
  • 目標の達成にイノベーションがどのように重要な役割を果たすかを探求する
  • コーチングとフィードバックのスキルを理解し、実践する
  • 企業戦略を組織の下の階層に浸透させる
  • 個人の能力開発とキャリア・プランニング

プログラムの中では、専門的なテーマについて講演するゲスト・スピーカーも招聘しました。
2名のトップマネジメントチームメンバーも、参加者のコーチ役を果たしました。この社内コーチングは、プログラムの期間中だけでなく、その前後にも実施されました。

どのグループも他とは異なる優先課題を抱えていたので、MCEのシニア・アソシエートたちはビジネスのニーズと個人の能力開発の課題に応じてプログラムの内容をその都度調整する必要がありました。

変化する環境 ― 危機を乗り越える経営

2008年の末に、世界経済は一変しました。その新しい環境の中で、テイジン・アラミド社は、長期目標達成のためのリーダーシップ・スキルを必要としただけでなく、それまでまったく経験したことのない種類の短期的な課題にも直面しました。

その時点で、初年度のミドル/シニア・マネジャー・グループのための4つのモジュールのうち3つが既に実施されていました。しかし、その新しい状況 の中で、プログラムの内容を修正する必要が生じました。それまでは、会社の成長と個人の能力開発にフォーカスされていましたが、急遽、短期的なキャッシュ フローの課題を中心に考慮しなければならなくなったのです。

プログラムに参画している2名のトップ・マネジャー、マーケティング&セールス担当のグローバル・ディレクターであるGert Frederiks氏と製造担当のディレクターであるWessel Bruining氏と協議しながら、MCEのシニア・アソシエートたちは、プログラム内容の再開発に取り組みました。これは、第4モジュールのためだけで はなく、後続のプログラム変更も視野に入れて再編成されました。


その結果、第4モジュールのテーマとして、以下が含まれることになりました。

  • 危機を乗り越える経営
  • グループの短期的アクション・プランの作成
  • 短期と長期の両方に対する推奨事項をトップマネジメント・チームに対して発表するグループ・プレゼンテーション

現在の危機と将来の目標の間でバランスをとる

プログラムの発足時に設定された当初のリーダーシップ目標は、今日でも依然として有効です。しかし、現在、リーダーシップ・スキルでは、短期的/長 期的成長のどちらについてもその焦点を変更する必要が生じています。このコア部分の見直しは、リーダーシップ・プログラム第2期生のグループに対するモ ジュール1の実施時に反映されました。第2期生のプログラムでは、まず前グループからの改善事項を取り上げて、次に、そうした改善事項の一部を、テイジ ン・アラミド社にとってのアクション・ポイント、戦略的目標、そしてマイルストーンへと練り直す作業が行なわれました。
このリーダーシップ育成に参加したテイジン・アラミド社のミドル/シニア・マネージャーの第1期生グループには、営業部長や製造部長など、各部門のマネ ジャーが含まれていました。そうしたマネジャーたちは、現在、リーダーシップ・プログラムに参加したことにより、以下のような行動変革を示すに至っています。

  • テイジン・アラミド社でどのようなリーダーシップが必要とされているのかを理解している
  • 長期的な目標を現在の困難な経済情勢の中で達成するために、より高い主体性と責任を負っている
  • 顧客中心の考え方を浸透させるために多大な貢献をしている
  • イノベーション・プロセスを製品開発だけでなく、業務全般にわたって向上させている
  • 企業目標を達成するために自分自身の行動様式の変革を試みている

※ このソリューションは、AMAの欧州支社であるMCE(Management Centre Europe)が提供したものです。
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