グローバル人材育成研修事例 株式会社クラレ

クラレDNAを継承するグローバルリーダーの育成

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株式会社クラレ
グローバル人事センター事業パートナーグループ主管
兼 グローバル人事センター人材活性化グループ主管
宮城 昭人様

株式会社クラレは、クインテグラルのグローバルリーダー育成研修をご採用いただきました。クラレDNAを継承するグローバルリーダーをどのように育成されているのかを今後の課題も含めて伺いました。

会社概要

社名:株式会社クラレ
事業概要:機能樹脂、化学品、人工皮革、合成繊維、
光学関連製品、メディカル製品などの製造・販売
URL:https://www.kuraray.co.jp/

事例概要

グローバル人材育研修の拡充
グローバル人材育研修の拡充の背景
グローバルリーダー研修Advanced Global Leadership Training (AGLT)
グローバルリーダー研修の位置づけ
5カ月間の学習と実践の反復
グローバルリーダー育成にフォーカス
クラレDNA
研修概要
グローバルリーダー研修の成果
国籍に関係なく有益
グローバルリーダー研修の課題
研修におけるダイバーシティ
コミュニティ
社内の巻き込み
グローバルカンパニーへの変容を研修で支援
グローバル人材研修時間比率10%
研修をともに進化させていくパートナー

グローバル人材育研修の拡充

グローバル人材育成研修拡充の背景

今回、中期経営計画の中でグローバル人材育成を拡充されたそうですね。その背景をお聞かせください。

宮城様
クラレは2000年代に入ってから海外の会社をM&A (合併・買収) して、業容を拡大してきました。現在、社員約11,000人のうち4割が外国人、海外売上比率は7割以上です。また、イノベーションネットワーキングセンターやグローバルデジタルトランスフォーメーション推進室などの組織が新設されました。これらの組織は、国境を横断したグローバルな組織です。社員、事業、組織ともにグローバル化が進んでいます。社内業務を担当している社員も、グローバルなマインドやスキルが必要となってきました。このような背景もあり、グローバル人材育成研修の拡充をはかりました。

株式会社クラレのグローバル人材育成制度
株式会社クラレの「グローバル人材育成制度の拡充」を参考にクインテグラル作成
https://www.kuraray.co.jp/csr/report2022/education
Advanced Global Leadership Trainingはクインテグラルが実施した研修

グローバルリーダー研修Advanced Global Leadership Training (AGLT)

クインテグラルが実施したグローバルリーダー研修Advanced Global Leadership Training (AGLT) の位置づけを教えてください。

グローバルリーダー研修の位置づけ

宮城様
AGLTの対象者は、グローバルシニアリーダーとして活躍が期待される社員で、数十人から百人規模のグローバル組織を率いていく人材です。AGLTはサクセッションプランの一つであり、非常に重要な役割を果たします。そのためAGLTの人選については、各カンパニーの担当役員と事業部長が悩みながら厳選しています。今年度も日本、アメリカ、ドイツの社員が選ばれました。

グローバルリーダー研修を今回大きく見直しをされたそうですが、どのような点ですか。

宮城様
以前のグローバルリーダーの育成はAdvanced Global Management Training(AGM) という名称で、グローバル拠点から対象者を東京に集め4日間の対面研修行っていました。新中期経営計画にてグローバルシニアリーダー層への人材育成を強化するべく、形式と内容を全面的に見直すことにしました。

5カ月間の学習と実践の反復

研修の形式として単発ではなく、数カ月にわたって学習を進めていくものとしました。研修で学んだことを現場に戻って実践し、その結果を研修の場で振り返るといった形です。5カ月間という長期にわたって学習と実践のサイクルを回すことで、実践力がつくと考えています。今年度も、オンラインと対面研修のハイブリッド形式で、各々の良さを生かして開催します。

グローバルリーダー育成にフォーカス

以前の研修 (AGM) でもリーダーシップは扱っていましたが、経営戦略やアカウンティング、ファイナンスといったマネジメントスキルを学ぶことが中心でした。研修の対象者は既にこれらの知識を持っていると思われたので、それよりもグローバルで多様な組織をけん引していく人材育成に焦点を当てました。そのため、名称もAdvanced Global Management Training (AGM) から、Advanced Global Leadership Training (AGLT) に変更しました。

目指すリーダー像は、異文化を理解し互いの違いを尊重してリーダーシップを発揮します。多様な人とコミュニケーションをとり、メンバーをエンゲージしながら仕事を進めていきます。たとえ対立があったとしても、社内外を巻き込み協働していきます。日本の昔ながらの階層的な指示命令でのマネジメントでは、社員はついていきません。マインドを変えていかないと、企業競争力を高めていくことはできません。

研修の中で、参加者は各自でグローバルリーダーになるための能力開発計画を作成します。作成した能力開発計画について、講師と上司からフィードバックをもらい、グローバルリーダーとしての可能性を探っていきます。

研修の中にクラレらしさを入れられたそうですが、どのような点ですか。

クラレDNA

宮城様
AGLTでは、単にグローバル環境でのリーダーシップを学ぶだけではなく、研修の中でクラレのDNAにも触れてもらうように設計しました。例えば、研修でクラレの過去に起こったことをケーススタディとして取り上げたり、経営者層との対話を組み込んだりしました。グループディスカッションでは、できるだけお互いの経験から学びあう時間もとりました。

研修の初日と最終日に、「クラレのグローバルリーダーとは何なのか」を問いかける仕掛けを入れました。リーダーシップのあり方が、一般的に言われているものや押し付けられたものではなく、5カ月間の学習と実践を通じて自分自身で見いだしてもらいます。研修終了後も、それを実践し続けてくれることを期待しています。

研修概要

期間:5カ月 講義、教材すべて英語での実施
プログラム内容は、クラレのコンピテンシーに沿って設計しています。

実施項目 概要
キックオフセッション
  • 担当役員からの講話
  • クラレのグローバルリーダー
セッション1
  • グローバルマインドセット
  • ケーススタディを用いたディスカッション
アバターロールプレイ*
  • 異文化環境下でのグローバルリーダーシップ
セッション2
  • ステークホルダーマネジメント/コミュニケーション
セッション3
  • 経営層との対話
  • チェンジ・リーダーの役割
セッション4
  • コンフリクトマネジメント
アバターロールプレイ*
  • 仲裁を行う
セッション5
  • エグゼクティブリーダーシップの開発
  • クラレのグローバルリーダーとは
  • 能力開発計画の共有

*アバターロールプレイは、アバターとロールプレイをしてコミュニケーションスキルなどの対人関係スキルを学べるサービス。サービス提供は2024年4月30日で終了。

グローバルリーダー研修の成果

研修を受けられた方やその上司の声をお聞かせください。

国籍に関係なく有益

宮城様
研修参加者の中には、部下が全員日本人の人もいました。ただ、日本人といってもキャリア採用で入ってきた人や若手もいて、バックグラウンドや考え方・価値観は多種多様だということに気づき、AGLTで学んだリーダーシップをチーム運営で役立てていると聞いています。

また、アンケート結果のいくつかご紹介しますね。
※日本語訳はクインテグラルが追記しました。

【研修参加者のアンケートから抜粋】
“I intuitively knew a lot about culture given my role, but it was really beneficial to have methodology and theory behind it.”
「文化については、自分の役割から直感的に知っていることが多かったのですが、その背景にある方法論や理論を知ることができたのは、本当に有益でした」

“Conflict management is significant for me to manage team properly. Members have different background and different consideration. Harmonization among team members with encouraging/motivating support should be success to lead the member properly.”
「コンフリクトマネジメントは、私にとってチームを適切に運営する上で有意義です。メンバーにはさまざまな背景や考え方があります。メンバー間の調和を図り、励ましややる気を起こさせるよう支援することで、メンバーを適切に導くことができるはずです」

上司からのフィードバックを見ると、学んだことが実践で生かされていることが分かります。
【上司からのフィードバックより抜粋】
“He got a lot of useful learnings about leadership from each session of AGLT. He gave positive feedback to the team members more frequently and showed positive behavior as well.”
「彼は、AGLTの各セッションから、リーダーシップについて多くの有益な学びを得ました。チームメンバーにポジティブなフィードバックを与える頻度が増え、行動も積極的になりました」

“I feel that you have come to conduct assertive communication suitable to each person with good understanding of the personalities, ways of thinking and behavioral characteristics of the persons involved. I also feel that you can pick up the essence of each person's thoughts by effectively using "why" question style in the communication.”
「相手の性格や考え方、行動特性をよく理解した上で、その人に合ったアサーティブコミュニケーションを行うようになったと感じます。また、コミュニケーションの中で『なぜ』という質問スタイルを効果的に使うことで、一人一人の思考のエッセンスを拾い上げることができるようになったと感じています」

グローバルリーダー研修の課題

AGLTの課題や今後の取り組みをお聞かせください。

宮城様

研修におけるダイバーシティ

昨年度の研修参加者は、日本人男性が半数以上を占めてしまいました。今年度は、多様性を考慮してグローバル拠点からの参加者と女性を増やしました。多様な視点でのディスカッションが展開されることが予想されます。非常に楽しみです。

コミュニティ

AGLTとは別のグローバル人材プログラムのGlobal Team Trainingは、2007年開始以来約400人が受講しました。この同窓生たちが異なる世代間でのコミュニティを形成しています。AGLTに関しても同じようにできればと思います。将来活躍する人同士が、研修の外でも交流することを促進したいと考えています。

社内の巻き込み

AGLTの中で、参加者の上司に能力開発計画の支援をしてもらっています。さらに、発展させて、研修中の様子や最終プレゼンテーションを経営層や上司に見てもらえるように取り組んでいきたいと思います。

グローバルカンパニーへの変容を研修で支援

宮城様の部門の今後の目標をお聞かせください。

宮城様
グローバル人事センターでは、グローバル人事制度の枠組みの一つとしてグローバル人材育成研修を位置づけています。中でもサクセッションプランとして、将来経営を担う人を早期に見つけて計画的に育成し、機会を提供していきます。これまでは、各部門長がその組織ごとに考えていたことを、クラレグループ全体で活躍する人材として考え、キャリアパスや人材育成プログラムを体系的に実施していきます。

グローバル人材研修時間比率10%

また、グローバル人材のすそ野を広げるためにも、研修総時間に対してのグローバル人材研修時間の比率を2026年には、10%まで増やしていきます。グローバル人材育成の対象者を増やし、グローバル人材のすそ野を広げていき、グローバルカンパニーへの変容を研修で支えていきます。

研修をともに進化させていくパートナー

今回、クインテグラルをご採用いただいたポイントは何ですか。

宮城様
クインテグラルには、AMA*の豊富なプログラムがあります。採用の決め手は、ただ単に研修の提案をするのではなく、他のグローバル人材施策も考慮して私どもの課題に合うように研修のカスタマイズをして提案してくれたことです。

今のAGLTが完成形ではありません。これからも改善を積み重ねていきます。幅広い視点でアドバイスをいただきながら、一緒にAGLTを進化させていきたいと思います。

*AMA (American Management Association) は、1923年に創設された世界有数の人材育成コンサルティング組織

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