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「ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)」という言葉は、今や知らない人がいないほど浸透しました。
しかし、多くの人が「多様な人材を雇うこと」だと理解している一方で、
その本質や、なぜ企業の競争力に不可欠なのかという問いに明確に答えられる人は意外と少ないのではないでしょうか。
D&Iは、単なる社会貢献やコンプライアンス遵守ではありません。
それは、企業の持続的な成長を実現するための強力な「経営戦略」です。
このブログ記事では、D&Iの基礎知識を再確認するとともに、
その本質、そして最新トレンド「DEI&B」やその推進に逆行する動きまでを分かりやすく解説します。
【目次】
「ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)」とは?
なぜ、D&Iが企業に不可欠なのか?
アメリカと日本、D&Iの動向比較
D&I推進を成功させるための3つのポイント
「ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)」とは?
D&Iは、企業の持続的成長に不可欠な経営戦略です。
ダイバーシティ(多様性)とは、人種、性別、年齢、性的指向、信仰、障がいなど、
個人が持つ様々な違いを認識することです。これは「名詞」であり、
組織の中に多様な人材がいる状態を指します。
一方、インクルージョン(受容)は、そうした多様な個々の違いを受け入れ、
それぞれの強みを活かし、全員が最大限の可能性を発揮できるような環境を作り出すことです。
これは「動詞」として、継続的な行動や文化を意味します。
つまり、D&Iは「多様な人材がいるだけ」では不十分で、
その多様性を「活かせる組織文化」があって初めて機能するのです。
なぜ、D&Iが企業に不可欠なのか?
では、このD&Iは企業にとってどのような意味を持つのでしょうか。
- イノベーションと生産性の向上
- 多様な視点や経験を持つ人材が集まることで、
創造性や問題解決能力が高まることが多くの調査で明らかになっています。 - 例えば、マッキンゼーの調査によると、民族の多様性が高い企業は、
そうでない企業に比べて財務業績が良い傾向にあります。
- 多様な視点や経験を持つ人材が集まることで、
- 労働力確保と社会的責任
- 少子高齢化が進む日本では、労働力の確保が喫緊の課題です。
- 女性や高齢者、外国人労働者など、多様な人材を積極的に活用することは、
企業の持続可能性を高める上で不可欠です。 - また、D&IはSDGs(持続可能な開発目標)とも深く連携しており、
企業の社会的責任を果たす上で必須の要素となっています。
アメリカと日本、D&Iの動向比較
次に、アメリカと日本におけるD&Iの歴史と近年の動向を見ていきます。
- アメリカにおけるD&Iの変遷と、逆行する動き
- アメリカでは、1960年代の公民権運動に端を発し、
雇用における差別を禁止する法律(公民権法)が制定されました。
そのため、法的側面からの多様性確保への意識が高く、
企業の社会的責任(CSR)としてD&Iを推進する傾向が強かったと言えます。 - 一方で、近年では、D&Iへの取り組みが厳しく見直され、
「D&I疲れ」や「D&Iバックラッシュ」と呼ばれる逆行する動きが強まっています。 - これは、「人種に関係なく能力で判断すべき」「D&Iは逆差別だ」といった、
成果主義やメリットクラシー(能力主義)を重視する保守的な考え方が台頭しているためです。
- アメリカでは、1960年代の公民権運動に端を発し、
- 日本におけるD&Iの変遷
- 日本では、少子高齢化による労働力不足を背景に、
「労働力確保や生産性向上」という経済的側面からの多様性推進が重視されてきました。 - 女性活躍推進法や障害者雇用促進法など、主に法整備を通じてD&Iが進められてきたのが特徴です。
- 日本では、少子高齢化による労働力不足を背景に、
- 最新トレンド:D&Iから「DEI&B」へ
- こうした逆行する動きがある中でも、D&Iは進化を続けています。
- 近年、アメリカではD(ダイバーシティ)、E(エクイティ:公平性)、I(インクルージョン)に、
B(Belonging:帰属意識・一体感)を加えた「DEI&B」という概念が、最新トレンドとして注目されています。 - これは、単に多様な人材がいるだけでなく、
社員一人ひとりが「ありのままの自分でいられる居場所」があると感じられる状態が、
最大限の能力発揮には不可欠とされているためです。
この「帰属意識」という概念が、今、D&Iを推進する上で最も重要な要素の一つとなっています。
D&I推進を成功させるための3つのポイント
多様性を「強み」に変えるには、組織全体で取り組むべき3つのポイントがあります。
- ポイント1:アンコンシャスバイアスを理解する
- 無意識の偏見(アンコンシャスバイアス)は、D&I推進の大きな阻害要因となります。
- 研修やワークショップを通じて、自社にどのようなバイアスが存在するかを理解し、
その行動変容を促すことが重要です。
- ポイント2:企業文化として「人」を育てる
- 多様な人材が活躍するには、心理的安全性が確保された職場環境や、
継続的に学習できる文化の醸成が不可欠です。 - 企業が社員一人ひとりの成長に投資する姿勢を示すことが、帰属意識やエンゲージメントを高めます。
- 多様な人材が活躍するには、心理的安全性が確保された職場環境や、
- ポイント3:データに基づいたアプローチ
- D&Iへの取り組みを客観的に評価するためには、データを活用することが重要です。
- D&Iがイノベーションや生産性向上にどれだけ貢献しているかを可視化することで、
経営層や社員の意識改革を促すことができます。
まとめ
D&Iは、単なる「人権問題」や「コンプライアンス」ではなく、
企業の持続的な成長と競争力強化に不可欠な「経営戦略」です。
今回ご紹介した「DEI&B」のような最新トレンドについては、ぜひ以下の資料をダウンロードしてご覧ください。