三菱化学株式会社

「次世代グローバルリーダー候補を早期育成するジュニア・グローバルリーダーシップ・プログラム」

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10年後のグローバルビジネスで活躍できる次世代マネジャーを育成するために、若手人材の早期育成を開始した三菱化学株式会社。研修導入の理由、人選の仕方、研修の内容、研修を成功させる秘訣など、プロジェクトを運営する人材・組織開発部 人づくりグループの吉田氏に話を伺いました。

三菱化学株式会社

創立 1994年10月1日(設立1950年6月1日)
資本金 500億円
売上高 2,080,902百万円(連結 2012年3月期)
従業員数 27,689人(連結)

事業概要

三菱ケミカルホールディングスの子会社で国内最大手の総合化学会社の一つ。
国内で18拠点、海外は40拠点で事業を展開。高機能材料、石油化学製品、情報電子、ライフサイエンスなどの分野における各種化学製品の研究・開発・製造・販売を事業とする。
三菱ケミカルホールディングスグループの一員として田辺三菱製薬、三菱樹脂、三菱レイヨンと共に、企業理念である「Good Chemistry for Tomorrow~ 人、社会、そして地球環境のより良い関係を創るために。」の下、「KAITEKI」社会の実現に向け取り組んでいる。

グローバル人材育成の一環として、若手社員を対象にしたプログラムを開催されていると聞きました。吉田さんの役割も含めて、ご紹介いただけますか。

三菱化学の人事部門は、いわゆる人事と、人材・組織開発の2つに分かれています。私は1年半ほど前から人材・組織開発部の人づくりグループで、グローバル人材育成プログラムの責任者を務めています。 あえて「人づくりグループ」という名称には、「会社として人づくりに力を入れていくのだ」という強い思いが込められています。その名のとおり、人を強くし、組織を強くするにはどうすれば良いかを常に考えている部署です。自分の軸を持って、まわりを巻き込みながら仕事を引っ張っていける存在。こんな人材像を理想に、人づくりに取り組んでいます。
グローバル人材育成に取り組むようになった背景には、当社が置かれた環境の変化が挙げられます。当社は素材産業であり、業態としてはグローバルなものから非常にドメスティックなものまで様々です。こうした中で近年、国内市場だけではもはや成長が望めない時代となり、海外売上比率の向上は至上命題になりました。
このため、グローバルにビジネスを広げていく人材の必要性が高まっています。
そこで昨年から「ジュニアグローバルリーダーシップ研修」と銘打った研修を開催し、今年2回目を迎えました。

具体的にはどの層が対象ですか?

係長相当です。
グローバル人材は若手から課長、部長層までいろいろとありますが、特に重要なのはグローバルビジネスを引っ張れるミドルマネージャー層です。しかし、この層を育てるためには、その手前の段階の係長相当職から専門のプログラムできっちり育てる必要があります。
年齢で言えば、30歳前後です。条件としては、国内勤務ながら、海外出張などの形で外国人との協働の機会がある社員、あるいは近々そのような仕事の予定が入っている人材です。今回は海外駐在組は対象外です。今年は20名が参加し、このうち半数が外国人との協働経験者です。

人材・組織開発部 人づくりグループ
課長 吉田 浩司氏

受講者はどのように選ばれるのですか?

外国人との協働が求められる係長相当という前提はありますが、実際の人選は、職場の上司による推薦です。

適切な人材を送り込んでもらえるように、私たち研修運営側の想定する受講者像を各職場の上司にしっかり理解してもらうことが大切です。
職場に条件の合う若手はいるが、その上の層に先に受けさせてやりたいなどの”配慮”があるとうまくいきません。また、職場の代表で、グローバル経験豊富な40代のバリバリの社員を送り込まれても、この研修には合いません。

こうした人選のズレは、組織が大きくなると、どうしてもついてまわる問題です。研修の効果を大きく左右することになりますので、運営側の意図を確実に職場の上司に伝えることが重要です。双方が密にやり取りし、どのようなグローバル人材を育成するのかという目標をいかに共有するかに尽きます。

選ばれた受講者の反応はいかがですか?

誰でも受けられる研修ではありませんので、選ばれた人は、それなりに意識が高まっていると思います。
中には、日頃からグローバル系の研修を受けたいと上司にアピールしていた受講者もいたようです。そういう人にとっては、チャンスが与えられたという意識になり、否が応でもモチベーションが高まります。

異文化の中で働くグローバル人材には、一見常識と思われることにも疑いの目を向ける姿勢を忘れず、包括的かつ多面的な見方を身につけてもらいたい。

現場で学ぶだけでは限界がありますか?

はい。人は仕事で育つものといっても、ただ現場に放り込めばいいわけではありません。職場の環境や上司にも大きく左右されます。正しく仕事を与え、正しくフィードバックしないと人材が伸びず、非効率です。
もちろん、最終的には仕事を通じて育って欲しいですから、仕事から上手に学ぶにはどうしたら良いのかを考察し、研修を設計しています。

グローバル人材育成に当たって当社では、価値観の異なる外国人とどのようにして一緒に働くかに主眼を置いています。そのような力をつけられる方法を探していたところ、AMAの研修に出会いました。

このジュニアグローバルリーダーシップ研修はどのような内容なのですか?

内容は「クリティカルシンキング」と「グローバルマインド」の2本立てです。

■ジュニア・グローバルリーダーシップ プログラム 全容

■クリティカルシンキング プログラム内容

  1. イントロダクション
  2. クリティカルシンキング プロセス(1) 状況を把握する
  3. クリティカルシンキング プロセス(2) 考え(自・他)を評価する
  4. クリティカルシンキング プロセス(3) 結論を出す
  5. クリティカルシンカーに必要な考え
  6. 総合演習

■グローバルマインド プログラム内容

  1. (セッション1からの)課題発表
  2. グローバルマインド
  3. グローバルな視野を持つ
  4. 異文化を理解する
  5. 多様性との協働力
  6. 自分の目指すグローバルビジネスプロフェッショナル像

以前からクリティカルシンキングは聞いたことがありましたし、社内の別の研修でも取り上げていました。しかし、AMAの説明を聞いてわかったのですが、今から考えれば、日本で言われているクリティカルシンキングのほとんどは、実はロジカルシンキングです。

ロジカルシンキングは単に論理的に考えることが中心ですが、クリティカルシンキングになると、論理的な考え方だけでなく、そもそも本当にそうかと疑う姿勢も含まれてきます。本来のクリティカルシンキングはロジカルシンキングよりもずっと広い概念です。
異文化の中で働くグローバル人材には、一見常識と思われることも予断や思い込みがないかなどの疑いの目を向ける姿勢を忘れず、包括的かつ多面的な見方を身につけてもらいたいと考えています。本来の意味のクリティカルシンキングは、グローバル人材育成に最適ですし、実務にも役立つと思い、研修に採用しました。

もうひとつの「グローバルマインド」は、どのような理由で選ばれたのでしょうか?

国別の異文化理解のような研修は社内でも実施していました。しかし、この国ではこうすればいいといった対症療法的なものではなく、そもそもグローバルな姿勢とはどうあるべきか、どこへ行ってもうまくやれる人材とはどういう人なのかを学ぶ場はありませんでした。問われるのは、いわば心根としてグローバルな土台です。そこで、グローバル人材としての心構えを学べる場を用意しました。

そのようなグローバルな環境を国内で体験させるのは大変なことだと思います。

いきなり異文化に飛び込むという方法もあるかもしれませんが、何の準備もなしで突然外国の人々と働くよりも、異文化を疑似体験できる場で準備してからのほうが効果的だと思います。
研修のために海外に行かずに、国内でそのような場を持つことができれば、低コストになり、回数も多く開催できます。

具体的にどのような方法でグローバル環境や異文化体験を学ぶのでしょうか?

いろいろな仕掛けがあるのですが、特におもしろいと感じたのは、トランプを使ったゲームです。異文化に身を置いたときの予想外の展開を、身をもって知る内容です。
私は教室の後ろで眺めていましたが、非常におもしろかったです。焦っている参加者の気持ちが手に取るようにわかりました。これはまさに異文化体験でした。シンプルですが、インパクトが強い体験です。
ほかにも、ビデオを効果的に使用しています。異文化ならではの行き違いをスキット(寸劇)形式で見てから、グループで話し合います。外国人と協働する中で起こり得る問題は何か?異文化環境で人と対面した場合、どういった点に気をつけるべきなのかを考えるきっかけを作ります

研修を終えて職場に戻ったら、何を学んだのか、これからどうしたいのかを上司と話して欲しい。そして職場では、学んだことを試せる仕事を与えることが大切

特に日本人の研修では、なかなか発言が出てこない問題がありますが、今回はいかがでしたか。

やはり初日の午前は発言が少ないことが気になりました。
受講生の年齢は20代後半から30代中盤くらいでしたので、年齢差による躊躇はなかったと思います。集団の場で積極的に発言しない癖のようなものでしょうか。

この状況を打破するために、講師が午後にいったん講義を止めて、発言を引き出すような問いかけをしてくれました。
受講生の発言を躊躇させている原因は何かという質問を投げかけ、ひとりひとりに答えさせたのです。すると、「間違ったら困る」や「ほかの人の意見を聞いてから考えたい」、「自分が言わなくても誰かが言うだろう」といった声が上がりました。
これが突破口になり、意見が出るようになりました。講師がうまく引き出してくれたお陰で、日を追うごとに盛り上がっていきました。

決められた研修プログラムを粛々と進めるのではなく、状況に応じてこのような場を作ってくれたのは良かったと思います。あの問いかけがなければ、シーンと静まりかえったまま最後までズルズルと流れてしまったかもしれません。

受講生に聞いた「発言を躊躇させている原因」(上位5つ)

  • 自分が間違っているかもしれない
  • 誰かがやってくれるだろう
  • 全体のバランスを見てしまう
  • 自分の意見に自信がない
  • そんなこと(当たり前すぎて)答える必要がない

講師の機転ですね。

はい。今回、二人の講師に来ていただきましたが、どちらも実際のビジネス経験が豊富で、自らの経験を踏まえて語ってくれるところが印象的でした。単に台本を読むだけでは伝わらないものがありますし、”本物”かどうかは受講生も敏感に感じ取ります。
また、受講生の意見の引き出し方が上手で、研修を切り回す能力にとても長けていたと思います。

研修は4日間ですが、前半と後半の2日ずつに分かれていますね。

これは研修企画上のポイントでもあるのですが、たとえ受講者の受けがよく、盛り上がった研修でも、「ああ、おもしろかった」で終わってしまい、実務にまったくつながらないということがありえます。そこで、前半2日のセッション1が終わった後1カ月のインターバルを置き、後半2日のセッション2を実施しました。

セッション1の終了後、1カ月間のインターバル中には受講生同士が研修内容を確認し合うバディシステムのようなサポートコーチングを入れました。前半が終わったからといって、やれやれとならない仕組みです。
セッション2の修了後も同様の仕掛けを設けました。

このように研修が終わっても、しばらくは忘れられないよう、たびたび思い出さざるを得ない仕掛けにしてあります。やりっぱなしではなく、ふとしたときに研修内容を思いだしたり、テキストをめくってもらうだけでも効果があると思っています。実際、かなりのメンバーが自主的に復習したり、実務に生かしていると聞きました。

ただ、ガチガチに縛って報告を義務づけるといった方法はとらず、あくまでも自主性に任せています。そもそも、グローバルに戦おうという人が、首根っこを押さえつけられなければ何もできないようでは、先が思いやられますので。 グローバル人材ゆえに、自発的にやってほしいという願いもあります

実際の受講生からはどのような声が寄せられていますか。

「もっと早く受けたかった」という声が想定以上に多かったです。それだけ刺激になったのだと思います。
また、グローバルだけでなく国内でも使える内容だったという声もありました。
外国だけでなく、日本人同士でも会社や部署が違えば異文化ですし、ベテランと若手の間にも異文化の壁があります。その意味で、国内・国外を問わず、毎日が”異文化”との戦いです。

私たち運営側も、日本でしか通用しない研修は減らしていこうと考えています。たとえ国内向け研修であっても、可能な限りどこでも通用する内容を学ぶ方向に変えつつあります。今回の研修はまさに、どこでも通用する内容になっています。

受講者の声

  • 大変ためになった研修であった。通常の業務でも役立つ部分がありそうなので、実践してみたい。
  • 講師ご自身の経験談も多く盛り込まれており、大変わかりやすかった。
  • ゲームをうまく使い体験することができたので、研修の内容をよく理解することができた。

たった4日間であっても、受講生が変わっていくのがわかります。例えば、「今後はこういうことを意識してやってみる」と発言したら、それだけで大きな変化です。そして、実際にやってみてどうだったかを反省し、次の行動に反映すること、これが2つめの変化です。こうした行動の変革を引き起こすことが目的でもあります。今年もこうした変化が受講生に表れると期待しています。

今後はグローバル人材の研修は、どのような展開をお考えですか?

まず縦方向への展開として、課長職相当のミドルマネージャー層向けを検討中です。
横方向への展開としては、まだまだ想定受講者層のごく一部しか受講できていませんので、もっと多くの人に受けてもらいたいと考えています。また、1日の短いコースでも、プレゼンテーションやネゴシエーションなど、個々の科目をアラカルト形式に選びながら、1年、2年と時間をかけて空き時間にコツコツ学べる体制も作りたいと考えています。

AMAの研修プログラムは中身がしっかりしていますし、カスタマイズができます。研修の最中でも、我々の要望に可能な限りその場で変更してくれますので、より良い研修にしていくことができます。

最後に研修を成功させる秘訣を教えてください。

研修を終えて職場に戻ったら、何を学んだのか、これからどうしたいのかといった点について上司と話をして欲しいです。上司を巻き込むことが大切です。また、それを受けて上司が本人にアドバイスして背中を押してあげるとモチベーションになります。

職場では、学んだことを試せる仕事を与えることが大切です。異文化理解の研修であれば、実際に外国人とのミーティングに出席させたり、外国人バイヤーとの交渉の責任者にするなど、研修内容をその後の仕事と連動させると、飛躍的に効果が高まるはずです。職場の上司の理解と後押しなくして、人材育成は成功しません

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