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女性リーダー育成研修を実施しても、なかなか女性管理職が増えない…
制度整備はしたものの、社内であまり変化がない…
ダイバーシティ推進が謳われて久しく、法的整備も進み、D&Iを経営戦略の一環とする企業も増えています。
にもかかわらず、こうしたお悩みを人事・経営層の皆様から伺うことが少なくありません。
それは、せっかくの取り組みが「形式的」になってしまっているサインかもしれません。
「やっているけど、効果がない」という状況を打破し、ダイバーシティを真に組織の成果拡大に繋げるためには、
全社員の「自分事化」が不可欠です。
本記事では、形式的なD&Iから脱却し、組織と個人の成長を加速させる戦略的アプローチを、
具体的なロードマップとともに徹底解説します。
【目次】
なぜダイバーシティ施策は「形式的」になってしまうのか?
「自分事化」への第一歩:未来の組織の「絵すがた」を全社員と描く
具体策:マッキンゼーの「7S」で自社なりのD&Iを定義する
成果を出すための「D&I実践アジャイルロードマップ」3つのStep
なぜダイバーシティ施策は「形式的」になってしまうのか?

施策が形式的になってしまう最大の原因は、
ダイバーシティ施策が社内で「自分事」になっていないことにあります。
これは、施策を検討するサイドと、現場レベルで、それぞれ以下のような問題として現れます。
- 施策検討サイドの課題
- 手段の目的化 「女性管理職比率」などの数値目標だけが一人歩きしたり、「研修を実施する」こと自体がゴールになったりするなど、
本来の目的である「会社としての成長・成果の拡大」を見失ってしまう状況です。
- 手段の目的化 「女性管理職比率」などの数値目標だけが一人歩きしたり、「研修を実施する」こと自体がゴールになったりするなど、
- 現場レベルの課題
- 国の方針や経営層からのメッセージによる「号令」で施策が始まっても、
現場の社員は「自分には関係ない」「目の前の業務優先」と感じ、結果として職場での変化が起きません。
- 国の方針や経営層からのメッセージによる「号令」で施策が始まっても、
成果を出すためには、まずこの「他人事」の壁を破り、「なぜ自社にとってD&I推進が必要なのか」を、
全社員が一般論ではなく自分たちの言葉で話せる状態にすることが重要です。
「自分事化」への第一歩:未来の組織の「絵すがた」を全社員と描く

ダイバーシティ推進を「自分事化」するための第一歩は、
「未来の組織の絵すがた」を描き、全社員がそれに理解・納得していることです。
私たちが目指すべきは、あくまでも「会社としての成長・成果の拡大」です。
その目的のために、「自社がさらに成長していくために、本当に目指す組織はどのようなものか?」を問いかけます。
【組織の「絵すがた」を描くための問い(一例)】
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自社がさらに成長するために、本当に目指す組織はどのようなものか?
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その組織の中で、ダイバーシティはどのように関わるか?
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それは経営戦略とどのように紐づけられるか?
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会社の成果拡大という目的のために、組織のダイバーシティがどんな状態にあるとよいか?
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この「絵すがた」の定義が、トップダウンや推進室からのメッセージ発信だけに頼るのではなく、
自社にとってのD&Iを全社員の「自分事」にする基盤となります。
具体策:マッキンゼーの「7S」で自社なりのD&Iを定義する
会社全体だけでなく、各部署・チーム、そして個人のレベルで、
「自社なりのダイバーシティな組織の絵すがた」を描くことが、「自分事化」を深めるカギです。
そのために有効なのが、マッキンゼーの7Sのフレームワークを活用した多角的な問いかけです。

- Strategy(戦略)
- 戦略にはダイバーシティがどう組み込まれているか?
- 多様性を活かした事業展開やイノベーションがどのように進んでいるか?
- Structure(組織構造)
- ダイバーシティ推進の責任者や専門部署がどのように機能しているか?
- Systems(制度・仕組み)
- 採用・評価・昇進制度でどのように多様性が尊重されているか?
- 働き方や福利厚生の制度がどのように整備されているか?
- Shared Values(共有価値観)
- 組織全体で共有されている「多様性を尊重する価値観」とはどのようなものか?
- その価値観がどのように日常業務や意思決定に反映されているか?
- Skills(スキル)
- 多様な人材と協働するためにどんなスキルが必要とされているか?
- Style(スタイル)
- 多様な人材を率いる管理職にはどんなリーダーシップスタイルが求められているか?
- Staff(人材)
- どんな多様な人材構成になっているか?
- どんな人材が集まり、どのような関係性を築いているか?
これらの問いを通じて、事業成果だけでなく「日常業務や部内の組織文化は、どう変化しているか?」、
「自身の働き方は、どのように変化しているか?」という、
社員一人ひとりの具体的な変化まで描くことで、「自分事化」は一気に加速します。
成果を出すための「D&I実践アジャイルロードマップ」3つのStep

「未来の絵すがた」を描いて終わりではなく、成果に繋げるためには、
変化に応じて素早く見直しながら推進する「アジャイル的」な継続的改善サイクルが不可欠です。
具体的な育成プログラムを設計する上でのポイントを見ていきましょう。
- Step 0: 「未来の絵すがた」を全社員と描く
- ここまでに解説した通り、まず組織全体、部署、個人のレベルで「自分事化」された目指すべき状態を定義します。
- Step 1: 現状把握と「未来の絵すがた」とのギャップ分析
- 定量・定性データの両方を用いて「自社の本音」と「実態」を浮き彫りにし、「絵すがた」とのギャップを明確にします。
- 定量的調査の例:D&Iサーベイ、エンゲージメントサーベイ、属性別データ分析(離職率・昇進率など)
- 定性的調査の例:フォーカスグループインタビュー、個別ヒアリング(体験・課題の深掘り)、職場風土ワークショップ
- 定量・定性データの両方を用いて「自社の本音」と「実態」を浮き彫りにし、「絵すがた」とのギャップを明確にします。
- Step 2: 絵すがた実現の具体的なアクションプラン策定
- ギャップを埋めるための具体的な施策(制度の整備、研修の企画、イベント、ERGの設置など)を策定します。
- この際、社員一人ひとりが多様性の行動変容プロセスを踏めるよう設計することが重要です。
多様性の行動変容プロセス 施策例(クインテグラル・ラインナップより) 知る/理解する アンコンシャスバイアス研修、異文化理解研修 受け入れる (ありたい姿・現状とのGAP) ダイバーシティ&インクルージョン研修 実践する (学習・変容) ダイバーシティマネジメント研修(上司対象)、ウーマンリーダーズ研修 応用する キャリア開発プログラム、EQ、リーダーシップ研修
- Step 3: 効果測定と継続的な改善サイクル
- Step 1と同様に、定量・定性の両方で変化を測り、施策が「絵すがた」の実現に貢献しているかを検証し、継続的に改善します。
- 定量的KPI:女性管理職比率、制度利用率の変化、エンゲージメントスコアの変化(属性別)
- 定性的評価項目:従業員の声(自由記述)、職場風土の変化に関するヒアリング、管理職の行動変容(インクルーシブな言動の実践度)
- Step 1と同様に、定量・定性の両方で変化を測り、施策が「絵すがた」の実現に貢献しているかを検証し、継続的に改善します。
まとめ
クインテグラル株式会社は、D&I推進を「研修施策の実施」で終わらせず、
その前の【絵すがたを描く】ステップから伴走し、「自分事化」を通じた組織変革を支援します。
形式的な取り組みで終わらせず、真に組織の競争力を高めるD&I推進を実現しませんか。
貴社の未来の組織の「絵すがた」を描き、成果に繋げる戦略的アプローチについて、
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