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InclusionとBelongingの未来: インクルーシブ・リーダーを育成する

インクルーシブ・リーダーを育成する

 アバターロールプレイ*1を開発提供するMursion社 (米国シリコンバレー)が、2022年6月23日に、企業におけるインクルーシブ・リーダーの育成について、ゲストスピーカーを招きパネルディスカッションを行いました。

*1 アバターロールプレイは、Virtual Immersive Learning® (仮想没入型学習) を取り入れ、効率的な研修を実現するトレーニングシステムです。受講者は、バーチャル環境の中でアバターを相手にロールプレイを行います。

 今回のブログでは、パネルディスカッションで意見交換された内容の一部をお伝えします。

 <参加パネリスト>
参加パネリスト

ダウ・ケミカルのダイバーシティ&インクルージョンの取り組み
 ダウ・ケミカル社 (以下、ダウ)*2は、2019年に新しいCEOが就任して依頼、ダイバーシティ&インクルージョンの推進をさらに加速させています。CEOを中心に、シニアリーダーが革新的で顧客第一主義、そして最もインクルーシブな企業になることを目標に掲げ、さまざまな施策に取り組んでいます。Dr. WilliamsがリードするInclusion Officeには約20名が所属し、各地域のインクルージョンリーダーたちと連携しながら推進しているそうです。
 ダイバーシティやインクルージョンというトピックは、広範で複雑なため、HR・人事領域には収まり切りません。人事に任せきりにするのではなく、専任部門を設置し、組織横断的に取り組む体制にしています。

*2 ダウ・ケミカル社: 米国、ミシガン州本社、1897年設立の世界有数の化学工業メーカー。従業員数約35,000人

インクルージョンの先にあるダイバーシティ
 ダウにおいては、まずインクルージョンがあって、その先にダイバーシティがあると考えています。従業員の自発的な参画が肝心であり、さまざまなERG (従業員リソースグループ) が活動しています。約3,000人のリーダーたちに対し、ERGへの参加を強く推奨しており、97%ものリーダーが実際に参加しています。また、全従業員の約50%もERGに参加しています。ERGに参加している従業員の満足度は、参加していない従業員に比べ約10%も高いというデータもあります。

ダイバーシティ推進の難しさ
 Bersin氏によると、8~9,000人のHR従事者を対象に行ったコンピテンシーアセスメントの結果、DEI (Diversity, Equity, Inclusion) が、さまざまなトピックの中で最も苦手な領域に選ばれたそうです。さらに、DEIは幅広い領域のもので、人事に収まり切るものではないとBersin氏は言います。そのため、組織のトップや経営者が経営戦略の一環として取り組む必要があります。しかし、経営者が責任をもってDEIを推進している企業は、全体の5~10%程度に留まります。さらに、常に社会情勢は変化し、政治や個人の意見、信条、地域性や文化背景も関わるため、非常に複雑です。

インクルーシブ・リーダー育成のアプローチ
 ダイバーシティ推進において、なぜインクルーシブ・リーダーの育成にフォーカスするのでしょうか。コスト面からも全従業員を対象とするのは現実的ではありません。Dr. Williamsは、「まずはリーダーから」と言います。従業員の低い満足度やトラブルが頻出する組織では、ほとんどの場合マネジメントが機能しておらず、リーダーや上司との関係が良好ではありません。最悪の場合、退職にもつながってしまいます。
 ダウの場合はトップの明確な意思があり、理想のあるべき姿と現状の間に大きな隔たりがあったため、迅速に取り組む必要がありました。そのため、アバターロールプレイのような新しいテクノロジーを積極的に取り入れることを判断しました。

ダウ・ケミカル社におけるアバターロールプレイの活用
 ダウはまず、3,000人のリーダーを対象にした育成プログラムの設計に取り組みました。既成プログラムではなく、ダウに合ったものにこだわり、事前課題 (Pre-Reading)、eラーニング、ウェビナー、アバターロールプレイでの演習を組み合せたものにしました。また、仮想空間 (VR: バーチャルリアリティー) 上で、実際のオフィスを再現し、登場するアバターの民族性などにも配慮し、没入感を高めました。アバターロールプレイの演習では、次の2つのシナリオを実施しました。

  • マイクロアグレッションに気付く
  • マイクロアグレッションに勇気をもって指摘する

生身の人間ではなく、アバターを相手にしたロールプレイは、仮想空間の中で心理的に安全な環境が確保されることと、実際の場面に近い経験ができる利点があります。

高い参加率と高評価
 今回の取り組みは、必須トレーニングではありませんでしたが、約90%のリーダーがプログラムに参加しました。アバターロールプレイに対する関心の高さや、最新テクノロジーの活用が、非常に高い参加率につながったと考えられます。トレーニングの効果測定は簡単ではありませんが、プログラム参加後の調査では、約90%が「チームメンバーとのやり取りに、より自信が持てるようになった」、「チームをサポートするための準備ができた」、80%は「インクルージョンに対するコミットレベルが上がった」と回答したそうです。

【パネルディスカッション動画】
■ パネルディスカッションの様子は、動画でご視聴いただけます。
  The Future of Inclusion and Belonging (外部サイト)

 DEI推進は簡単なものではありませんが、アバターロールプレイのような新しいテクノロジーを取り入れ、試してみるのも一つの方法です。Mursion社は、ダウとの取り組みの事例を近日公開予定です。

 

■ 本ブログに関連するおすすめコース
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本ブログでご紹介した内容の詳細は、以下までお問い合わせください。
お問い合わせ:https://www.quintegral.co.jp/contact/

 

筆者紹介

未来への道標 A guide to future

大谷 有三(オオタニ ユウゾウ)
クインテグラル株式会社 代表取締役

2009年、IT・ビジネス分野の人材育成を専業とするグローバルナレッジネットワーク社(現 トレノケート)に営業として入社。日本及びアジア地域の営業、事業開発にかかわる。
2021年、トレノケートグループのクインテグラル株式会社 取締役就任。日本及びアジア地域の事業統括、開発に幅広く取り組んでいる。

 


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